つるバラや、よく伸びるオールドローズは、四季咲きとは性質が異なります。
当園(生産者・バラのプロ)がおススメする元気で丈夫な苗への育て方をお伝えします。
つるバラの選び方~規模にあった品種を~
まず、購入する前には規模に応じた品種選びが大事です。どれくらいのスケールで這わせたいのか、たとえば1mほどの小さめのオベリスクなのか、それとも3mも4mも伸ばして家の高さまで、またはフェンスに長く這わせたいのか。
「つるバラ」と一口に言っても、つるバラの中にも
比較的小ぶりなものから
巨大化するものまで様々です。小さめのオベリスクに巨大化するつるバラは、枝が太く硬くなりすぎてしまいうまく曲げられません。逆に大きな壁に小ぶりのつるバラでは、長さが足りないかもしれません。
まずはご自宅でどんな風につるバラを楽しみたいか、スペースはどれくらいかを決めた上で品種を選ぶと良いでしょう。植えた後に「イメージと異なっていた」と抜いてしまうのは、バラにとっても可哀そうです。
①まずは鉢増しで仮住まい~根を充実させる~
当園が春にお届けする新苗は、4号ポットに入っています。春にお届けしたままのポットですと窮屈ですので、根鉢(土をポットの形のまま)を崩さずに7号鉢に鉢増しを行ってください。鉢増しの方法はこちらの
動画をご覧下さい。(動画内のモデル苗は四季咲きのもので剪定していますが、つるバラは剪定する必要はありません)
この作業は、将来的に地植えする方にも丈夫な根をつくるためにおすすめです。
②2か月後、もう一度鉢増し(または地植え)をする
鉢増しから2か月程すると、根がしっかりと土を掴んでいます。鉢が壁となり根が鉢の中でぐるりとまわっています。このように根がしっかりと成長し回り込むことが大切です。こうなれば、根が充実しているでしょう。
こうなった後に、その株にとってのいわば本住まいに移してあげてください。このタイミングで地植えをしたり、お気に入りの大きめの鉢やプランターへの鉢増しを行ってください。
左:新苗から7号鉢へ鉢増しし、さらに2,3カ月経過してより充実した株
右:成長に応じ、さらに大きな鉢(本住まい)に植え替えてあげましょう。
※なお、新苗4号ポットからいきなり10号鉢など大きなものへの鉢増しはお勧めしません。小さな株に対して土の量が多すぎ、根が水分を吸いきれずに土が乾かなくなってしまいます。土は、適度に乾くことが重要です。いつでも湿っている状態ではなく、「乾いたらたっぷり水をあげる」、この水やりの基本が元気なバラづくりの要です。
③枝が伸びるまでは剪定は不要です
若い新苗の場合、剪定を気にすることはありません。
最終的に這わせたいスペースを満たすまでは、基本的に切る必要は無いと考えてください。どんどん伸ばしましょう。
本格的な剪定が必要になるのは、次の次の冬(2年目の冬)以降です。そのころに枝が混みあってきたり、バラ自身が不要と判断した枝が枯れこんできます。そのときにしっかり剪定しましょう。そのころの本格的な剪定はこちらの
動画をご覧ください。まだ先の話ですが、将来像を掴めると思います。
※もし花が咲いたら花柄をとるだけでOKです。四季咲きのように、しっかりと剪定する必要はありません。
④誘引について
伸びてきた新芽(若い枝)はまだまだ幼いので、曲げるとポキっと折れてしまいます。時間とともに成長ししばらくすると、ある程度曲げても折れない強さになりますので、そのころから誘引してOKです。(「いつになったら本格的に曲げて良いか」というのは、育ち方や個体差がありますので、お迎えしたバラの枝の様子をよく観察し、ご自身で判断して下さい。バラの顔色を伺う、それもガーデニングの楽しみです。)
ただ、本格的な誘引は冬がおすすめです。冬には葉も落ちてスッキリしていますので、枝が良く見えて誘引作業がしやすいです。
⑤冬の本格的な誘引前でも枝が伸び放題で邪魔ならば、季節に関わらず仮止めを
まだ枝が若く、しっかりと曲げて誘引出来る強さは無いけれど、ぐんぐん長く伸びているので枝が暴れて危ない、そんなときは「仮止め」をしておきましょう。なんとなく上方に向けて紐で束ねたり、あまり曲げずにフェンスにとりあえず止めておくのも良いでしょう。
仮止めの仕方は様々です。お手元のバラの様子と、這わせる構造物との兼ね合いで、ご自身で工夫してみてください。「こうしなくてはいけない!」というのはありません。

ぼうぼうに伸び放題で邪魔になってしまう場合は、なんとなくで良いので仮止めしておきましょう。
仮止めの例。7号鉢に植え替えたのちに、支柱に止めしています。
冬になったら本格的な誘引を行いましょう。

具体的な冬の誘引作業についてはこちらの
動画をご覧ください。
豆知識~1年目は(基本的には)咲きません~
つるバラや多くのオールドローズは、枝が十分に伸びたのちに花を持ちます。元気で健康な苗であっても、1年目の新苗は咲かない性質です。花をつけるよりも、枝を長く伸ばすことにエネルギーを使っています。(だからこそつるバラ)
時が経ち、枝が十分に長く伸びた後につける花は何百輪にもなります。その風景は圧巻です。
※オールドローズのグループは様々な性質がありますので、1年目から咲く品種もあります。
動画
Q.新苗のつるバラは、花は咲かないのですか?にお答えしました。
豆知識~ベーサルシュートがどんどん太くなります~
春のご購入時にある、すーっと1本真上に長く伸びている枝(接ぎ木した芽)ではなく、その後に出てくるベーサルシュートがどんどん太くなります。これは、四季咲きと大きく異なる点です。つるバラのベーサルシュートは年数が経つと、驚くほど太くなり、人の腕程になることも。まさに「木」です。四季咲きの「枝の更新」とは異なる育ち方をします。
10年以上経ったピエールドゥロンサールの株元
水やり、肥料のあげ方は四季咲きと同じです。
基本の水やり、肥料のあげ方はバラの系統(グループ)、品種に関わらず同じです。
以上を踏まえまして、こちらの動画をご覧いただくとよりご理解いただけるかと思います。