山や森の中のふかふかした場所を歩いたことはありませんか?誰もお手入れをしていないのに、山の木々や植物は毎年元気に青々と育ちますよね。その秘密が「堆肥」と同じ仕組みにあります。
秋になると木から葉っぱが落ち、それが地面にどんどん積もっていきます(堆積)。その落ち葉や動物たちの糞を、土の中にいる目に見えない微生物(バクテリア)たちが時間をかけてゆっくり分解(腐らせて)していきます。
お店の園芸コーナーに行くと、堆肥のすぐ横に「バラの培養土(ばいようど)」も並んでいますよね。「どっちを買えばいいの?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
「うちのお庭にはもうバラが植わっているんだけど、どうやって堆肥を足せばいいの?」という方も安心してください。
一般的には「株の周りに穴を掘って混ぜる」と言われることが多いですが、すでにしっかり根が張っているバラの周りを無理に深く掘ると、大切な根っこを切ってしまう危険があります。
そこで、園主が実践している「一番ラクで失敗しない裏技」をご紹介します。
やり方は驚くほどシンプル。「バラの株元(地面の上)に、堆肥をそのままバサッと敷き詰めるだけ」です!
新しくお庭にバラの苗を地植えするときは、堆肥を土にしっかり混ぜ込んで「バラの根っこがのびのび育つ、健やかな土壌」を作ってあげましょう。
一般的なお庭の土(赤土など)は、そのままでは雨が降るとカチカチに固まって水はけが悪くなったり、逆に乾くとサラサラと流れてしまったりして、バラの根っこが育ちにくい状態になっています。
さらに、こうしたお庭の奥深くにある赤土は、草の種や病気の菌がいない代わりに、バラの成長を助けてくれる「微生物」や「栄養分(肥料気)」も全く含まれていません。つまり、植物にとっては「栄養のない、生きていない土」なのです。
ここに堆肥をプラスします。掘り上げたお庭の土に完熟堆肥をしっかりと混ぜ合わせることで、土に豊かな微生物と栄養分が吹き込まれ、「水はけ・水持ちが良く、バラの根が喜ぶ生きた土」に生まれ変わります。
YouTubeのコメント欄などでもよくいただく、堆肥にまつわる疑問に園主がお答えします。
* 質問①:堆肥をまく前に、周りの雑草は抜いたほうがいい?
園主の回答:「もちろん、草取りは綺麗にしてからまくに越したことはないですよ!」見た目の美しさもありますし、雑草に堆肥の良さを横取りされてしまうのももったいないですよね。しっかり草取りをしてから、バラの周りに優しくまいてあげてください。
* 質問②:地植えしている場所の土がカチカチです。堆肥をまく前にしっかり耕して柔らかくしなきゃダメ?
園主の回答:「無理に掘り起こして土を砕く必要は一切ありません!」硬い土の上からでも堆肥をバサッと乗せておくだけで、ミミズなどの生き物や微生物がその下へと集まってきます。彼らが土の中を動き回ることで、人間が耕さなくても、自然の力で土をフカフカに耕してくれます。自然の力を信じて、楽をしてくださいね。
バラ栽培で一番大切なのは、太陽、水、そして土壌のバランスです。これらはすべて「多すぎてもダメ、少なすぎてもダメ」という共通点があります。
完熟堆肥を上手に使えば、重労働をしてまで無理に土を深く耕す必要はありません。
バラの気持ちや自然のサイクルに寄り添って、少し足りないくらいの量からアプローチしていくこと。それができるようになると、バラ育てがどんどん楽しく、上手になっていきますよ。
少しずつ経験を重ねて、お庭のバラを美しく咲かせてみてくださいね。
▼YouTube本編はこちら
【初心者さんへ】堆肥の基本/使い方 土壌改良 堆肥って何?
▶こちらも合わせてご覧ください。動画 【農家直伝】バラの地植えの方法の基本 培養土を使う、自分でブレンドする をご確認ください。
「肥料を全くあげなくても、バラがすぐに枯れることはない」と園主はいいます。顔色(葉の色)が少し悪くなるくらいで、致命傷にはなりません。
本当に怖いのは「あげなさすぎ」ではなく、実は「あげすぎ(過剰摂取)」なのです。必要以上の量を与えてしまうと、バラには以下のような障害が出てきます。
* 葉焼け・根焼け:土の中の肥料濃度が高くなりすぎると、デリケートな根が傷んでしまいます(※詳しい仕組みは次の章で解説します)。そのSOSサインとして、葉の周りがだんだん茶色く焼けたように変色してしまいます。
* 木ボケ(きぼけ):肥料に含まれる「窒素(チッソ)」は枝葉を伸ばす栄養素です。これが多すぎると、枝ばかりが異常にどんどん伸び、葉っぱが巨大化し、肝心の「花を咲かせるモード」に株が切り替わらなくなってしまいます。
* 病害虫に弱くなる:窒素過多で急激に伸びた枝葉は、組織がとても柔らかくなります。すると、虫たちにとって「柔らかくて食べやすい格好の的」になってしまい、虫が寄り付きやすくなります。
園主は動画の中で、強い化成肥料について「ナトリウム系統なのかな、塩分というか、傷口に触るとピリピリするような強い刺激がある」と表現しています。
「根焼け」という言葉を聞くと、まるで土の中で根っこが熱を持って燃えてしまうようなイメージがありますよね。でも、実はそうではないんです。正体は、根っこが「水分をギューッと吸い取られて、カラカラに乾いてしまう現象(浸透圧)」を指します。
植物の根っこは、土の中の水分を吸い上げて生きています。しかし、土に肥料をドバッとたくさん入れてしまうと、土の中の栄養成分がバラの根っこの中よりも、はるかに「濃い状態」になってしまいます。
自然界には「濃いものがあると、それを薄めようとして水分が引っ張られる」という不思議な性質があります。
土が濃くなりすぎると、この性質のせいで「根っこが水を吸う」のとは逆に、「根っこの中にある大切な水分が、濃い土のほうへとどんどん吸い出されてしまう」という逆転現象が起きてしまいます。
分かりやすいのが、ナメクジに塩をかけると縮んでしまう状態です。塩分という「濃いもの」に水分を奪われているのですが、これと全く同じことがバラの根っこで起きてしまうのです。
水分を限界まで奪われた根っこは、細胞が破壊されて死んでしまいます。
園芸で「根腐れ」というと水のやりすぎ(酸欠)をイメージしますが、このように肥料のやりすぎで根の細胞が死んでしまった場合も、最終的には死んだ根が土の中で黒く腐っていくため、同じ「根腐れ」の状態になってしまうのです。
※根腐れについて詳しい動画はこちら
お店に行くと色々な肥料が並んでいますが、大きく分けると「化成肥料」と「有機肥料」の2つがあります。それぞれ性質が全く異なります。
* 化成肥料(化学肥料):鉱物などを化学的に製造したものです。成分(チッソ・リン酸・カリ)がしっかり数値化されており、パッと効く「速効性」が強みです。ただし、そのぶん濃度が高いため、量を間違えるとすぐに株を傷める難しさもあります。
* 有機肥料:油かすや牡蠣殻など、自然界にあるものを利用した肥料です。こちらは土の中で微生物によって発酵・分解されて初めて効果が出ます。効果が「穏やか」なので大失敗しにくいのがメリットです。
多くの園芸書には「植え付けや植え替えの時には、土に元肥(もとごえ)を混ぜましょう」と書いてありますよね。しかし、篠宮バラ園では元肥は基本的には入れません! これが一番失敗しない秘訣です。
市販されているバラ用の「培養土(倍土)」には、牛糞や腐葉土、ピートモスなどがバランスよく配合されており、すでに微量の栄養がきちんと含まれています。
お庭に新しく植え付ける苗や、鉢を大きくする植え替え直後のバラは、人間で言えば手術が終わったばかりのような状態。そこに強い化成肥料などを混ぜ込んでしまうと、新しい根がすぐに焼けてしまいます。
また、「穏やかな有機肥料なら土に混ぜても大丈夫では?」と思いがちですが、これも避けてください。
有機肥料は、土の中の微生物に分解されることで初めて栄養に変わるのですが、土の中でその分解がスタートすると、実はかなりの「熱」と「ガス」が発生します。
逃げ場のない土の中で熱がこもると、バラのデリケートな根っこがまるで「お湯で茹でられたような状態」になってしまい、呼吸ができずに弱ってしまうのです。
「じゃあ、後からあげる肥料は何がいいの?」という初心者の方に園主が太鼓判を押すのが、当園の生産現場でも長年愛用している「IB肥料」です。
バラ栽培で一番大切なのは、太陽、水、そして肥料のバランスです。これらはすべて「多すぎてもダメ、少なすぎてもダメ」という共通点があります。
「乾ききっていないのに、早く大きくなってほしいからと毎日水をあげる」
「まだ栄養を吸えない状態なのに、よかれと思って肥料をたくさんあげる」
これらは人間の都合であって、バラの気持ちには寄り添えていませんよね。
バラが「あぁ、水が乾いて喉が渇いた!お水が美味しい!」「しっかり根が張ったから、そろそろ栄養が欲しいな!」というタイミング(気持ち)を見極めて、少し足りないくらいの量からアプローチしていくこと。それができるようになると、バラ育てがどんどん楽しく、上手になっていきますよ。
少しずつ経験を重ねて、お庭のバラを美しく咲かせてみてくださいね。
こんにちは、篠宮バラ園です。
バラ栽培において、多くの方が頭を悩ませるのが「うどんこ病」や「黒星病(黒点病)」といった病気の対策ではないでしょうか。「毎回のスプレー消毒に手間がかかる」「できるだけ手軽に、かつ効果的に病気を予防したい」というのは、共通の願いかと思います。
今回は、当園のYouTubeチャンネルでもお馴染みの、KINCHO園芸(旧住友化学園芸)の“牛ちゃん”にお聞きした、病気専門の予防薬「マイローズ ベニカBT殺菌粒剤」の特徴や効果的な使い方について、分かりやすく整理してお届けします。
虫と病気の両方をカバーする定番の粒剤として「ベニカXガード粒剤」が広く使われていますが、こちらは年間の使用回数が「4回まで」と制限されています。そのため、春先と秋口に使うと、その間のシーズン(初夏から夏)には使用できないという課題がありました。
その課題を補い、間を埋める存在として活用されているのが、病気専門の予防薬「ベニカBT殺菌粒剤」です。
お薬の名前に付いている「BT菌」という言葉、初めて聞く方には少し難しく感じられますよね。
一言でいうと、BT菌とは化学合成された成分ではなく、「自然界にむかしから存在している安心な微生物(細菌)」のことです。実は、私たちが普段よく食べている「納豆菌」の親戚のような生き物でもあります。
お薬のパッケージの裏(成分欄)を見ると、正式には「バチルス チューリンゲンシス菌の生芽胞(せいがほう)及び産生結晶毒素(さんせいけっしょうどくそ)」と少し難しい名前で書かれています。
これは簡単に説明すると、以下のような2つの要素でできています。
「毒素」と聞くとドキッとしてしまいますが、この毒素はイモムシやアオムシのアルカリ性の胃袋に入ったときだけ反応して、お腹を壊させるという性質を持っています。
人間や犬・猫などの哺乳類の胃袋は「酸性」のため、この毒素はまったく反応せず、そのまま消化されてしまいます。そのため、特定の虫にだけ効いて、人やペットには非常に安全な成分として認められているのです。
園芸や農業の世界ではとても歴史があり、もともとは安全な虫除けとして長く使われてきました。しかし研究を重ねる中で、「この菌をバラの株元にまいておくと、なぜか病気にかからなくなる」という効果が発見され、現在の予防薬としての活用につながっています。
商品名に「殺菌」という言葉が入っていますが、実は植物に付着した病原菌を直接殺す成分ではありません。
日本の農薬のルール(法律上の分類)では、病気を防ぐお薬はすべて一括して「殺菌剤」と呼ぶ決まりになっているため、このような名称になっています。
実際の働きは、人間の予防接種に近い作用です。粒剤(BT菌)を土にまくことでバラの根に刺激が伝わり、植物全体に「病気に備えよ」という指令(抵抗性誘導)が行き渡ります。これにより、バラ自体が自らの「抵抗力(免疫力)」を底上げし、病気にかかりにくい体質を作ります。
すでに発病してしまった葉を治す「治療効果」はないため、公式ページにもある通り、あくまでも病気が出る前の「発病前(初期予防)」に使用することが大切です。
「ベニカXガード粒剤」と「ベニカBT殺菌粒剤」を上手につなぎ、年間を通して病気をブロックするためのスケジュール案です。
※バラの生育や害虫の発生時期は、お住まいの地域やその年の気候によって異なります。以下のスケジュールはあくまでも目安としての参考例ですので、ご自身の庭の様子に合わせて調整してください。
| 時期・タイミングの目安 | 使用する薬剤 | 目的とポイント |
|---|---|---|
| 春先(4月〜5月頃) ※ソメイヨシノの開花が目安 |
ベニカXガード粒剤 (年4回制限のうち2回分) |
春先に一斉に増え出すアブラムシなどの害虫を抑えつつ、初期の病気もダブルで予防します。 |
| 初夏〜夏(間を埋める期間) | ベニカBT殺菌粒剤 | ガード粒剤が使えない期間を埋めるため、3週間〜1ヶ月おきに定期的にまき、夏場の病気への抵抗力を維持します。 |
| 秋ごろ(10月〜11月頃) | ベニカXガード粒剤 (残りの2回分) |
気温が下がり、再び害虫(アブラムシ等)や病気が活発になる秋のバラをしっかり守ります。 |
※もし途中でうどんこ病や黒星病が発生してしまった場合は、粒剤ではなく「ベニカXネクストスプレー」や「マイローズ殺菌スプレー」などの、菌を直接殺菌できる治療用スプレーで対処してください。
篠宮バラ園のInstagramで募集した、皆様からの具体的な質問について牛ちゃんに解説していただいた内容です。
A. どちらも同じBT菌を含んでいますが、「用途(登録)」と「製法」が異なります。
ナチュラルスプレーに配合されているBT菌は、主にイモムシなどの害虫をターゲット(殺虫成分)として登録されています。一方、BT殺菌粒剤は「植物に抵抗力をつけさせて病気を予防する(殺菌成分)」として登録されています。また、液体の中では腐敗しやすい生きた菌を、独自の技術で乾燥(休眠状態)させて日持ちするように作られているのも粒剤の特徴です。
A. 併用自体は問題ありません。
オルトランは害虫用、BT殺菌粒剤は病気用ですので、お互いの効果を補い合えます。ただし、同時に混ぜてまくのは避けてください。オルトランを土に混ぜ込んだあとに、BT殺菌粒剤を上からばらまくなど、直接触れ合わない工夫をしていただくと安心です。
A. はい、水やりをしてください。
土の表面に置くだけでなく、水がかかることで粒の中の菌が土壌へ染み込んでいき、根に作用します。風で飛ぶのを防ぐ意味でも、散布したタイミングで軽くお水をかけるのが確実です。
A. 植物や哺乳類に対する安全性は非常に高い成分ですが、取り扱い時の接触には注意が必要です。
BT菌そのものは自然界にいる微生物なので、万が一少量口に入ってしまってもお腹を壊すような強い毒性はありません。ただし、本剤は「眼や皮ふへの刺激性」があるため、特に肌の弱いや方やお子様が直接触れると、かぶれの原因になることがあります。安全のため、散布する際は手袋や長袖を着用し、まいた後は表面の土を軽く混ぜて、ペットやお子様が直接粒に触れないようにしておくとより安心です。
「ベニカBT殺菌粒剤」をローテーションにうまく取り入れることで、重い噴霧器を用意したり、頻繁に薬剤をスプレーしたりする肉体的な負担を大きく軽減することができます。
「いかに無理なく、長く家庭園芸を楽しめるか」を考えて作られた、非常に現代的なアプローチの薬剤だと感じます。
ぜひ皆様のバラの管理計画の参考にしていただければ幸いです。より詳細な開発秘話や、土壌の微生物に関するマニアックなお話に興味がある方は、ぜひYouTubeの動画本編も合わせてご覧ください。
こんにちは、篠宮バラ園です。
バラを育てていると、梅雨の時期や新芽の季節に葉が白くなっているのを見つけて「うどんこ病になっちゃった!」と不安になることはありませんか?
実はその白い跡、バラ園から届いた苗やしっかりと手入れされた株の場合、病気ではなく「病気を予防するための薬剤の跡」かもしれません。
今回は、バラ生産プロの視点から、勘違いしやすい「薬剤の跡」と「うどんこ病」の決定的な違い、そして実際に農家が使っている優秀な薬剤や、病気に対する心持ちについて分かりやすく解説します!
お客様から「届いた苗の葉に白いものがついているのですが、うどんこ病ですか?」というお問い合わせをいただくことがあります。
結論から言うと、これはうどんこ病ではなく、農園で定期的にしっかりと散布された「薬剤(殺菌剤)の跡」です。
プロが病気予防に使う「水和剤(粉末の薬を水に溶かすもの)」などは、水に溶かすと白い液体になるものが多いです。これをバラ全体に散布すると、水滴が葉の先端や低いところに溜まりますよね。その水分が乾いたときに、成分である白い粉だけが綺麗に残るため、そこだけ濃く白く見えてしまうのです。
つまり、この白い跡は「病気が出ないように、生産現場で事前にしっかり防除(予防)した証」なんです。
専門家が見れば一目で分かりますが、形や状態が全然違います。
「白いから病気だ!」と慌てずに、葉がよじれていないか、水滴の跡のようになっているかを総合的に観察してみましょう。
では、実際にプロの現場で使用している優秀なお薬をご紹介します。
園主が「とっても優秀!」と太鼓判を押すのが「エコピタ」です。
※「エコピタ」は農協(JA)さん以外では少し手に入りにくい場合があるため、一般のホームセンター等では同じでんぷん成分の「粘着くん」が手軽でおすすめです。
これらはプロも定期的に使用している定番の殺菌剤・予防薬です。
もし実際にうどんこ病が出てしまったら、初期対応が何より大切です。お薬を撒くときは、以下のプロのテクニックを意識してください。
バラを育てていると、葉が白くなったりして「もうこのバラは終わりだ…」とショックを受けてしまう方もいます。
でも、バラ生産50年以上のプロから言わせれば「植物なんだから病気が出るのは当たり前」です。人間だって風邪をひきますよね。大切なのは、出たからといってパニックにならず、「初期段階で正しく対処してあげること」です。
バラの病害虫トラブルには「致命傷になる危険度のランク」があります。
▶ブログ記事 本当に枯れてしまう病害虫の(致命傷になる)危険度について
そう、うどんこ病は一番下のランクです。見た目は少し悪くなりますが、葉がバサバサ落ちるわけでもなく、株自体が枯れてしまうことはまずありません。
普段から株を元気に、丈夫に育てる環境づくりを意識しつつ、お薬を上手に使って、肩の力を抜いてバラの栽培を楽しみましょう。
YouTube動画はこちら
気温が低くなってくるとバラにとっても快適な時期。夏バテしていた株も元気さを取り戻し、小さな黄緑色の新芽も健やかに伸びてきます。その柔らかい新芽や蕾を狙う虫も出てきますし、この涼しさだからこそ発生しやすい病気もあります。こまめにお庭やベランダを歩いてみて、ひどくなる前に早期発見に努めましょう。
20~25℃ぐらいの気温で発生しやすい病気です。
黒星病の何が怖いかというと、その広がりを止めないと生長に大切な葉が落葉してしまうということです。葉が少なくなれば光合成も出来ません。
秋はどうしても黒星病が出やすいタイミングですので、100%発生させないようにするということは、プロの私でも難しいことなのです。ですが、出来る限り葉を残し光合成ができるように病気の予防、もしかかってしまった場合はそれ以上広がらないように早期の治療を行って下さい。(「予防薬」、「治療薬」がありますので薬剤散布をしてください)
黒星病とは…
カビの一種で、葉の表面に胞子が付き葉の中に入り込んで成長します。長雨が続きそうな時に予防として薬剤散布するのが一番良いと思いますが、もし発生してしまった場合は成長の初期段階(小さい黒い斑点が出た時)で薬剤散布することが大切であり、成長が進むと薬剤散布しても効果が少ないので早期発見と薬剤散布が重要になります。
薬剤としては、ダコニール・サプロールなどをお勧めします。
秋バラが咲き始めるこの時期に注意するのが、タバコガという蕾や花を食べる虫です。タバコガは蛾が飛んできて卵を産み孵化するので、特に予防薬というものはありません。タバコガが付いたら薬剤散布をしますが、体が大きいので薬では効かないこともありますので、まめに見回って早期に発見し、物理的に取り除くのが一番です。
※詳しくはブログ記事…「Q.蕾に穴が空きました。虫がいるのでしょうか? A.「タバコガ」かもしれません」をご覧ください。
黒点病でもないのに、葉がどんどん黄色くなり落葉していく。なんとなく株全体が元気でない。
そういうときは一度地中を確認してみましょう。鉢の場合はそのままスポッと引っこ抜く。地植えの場合は根の周りを少し掘ってみてください。
白根が食べられ根鉢が崩れていたら大変です。幼虫が見つかれば捕殺してください。地植えは全ては掘れないので、根が食べられていた兆候があれば殺虫剤を用法を守りジョウロなどで潅水してください。コガネムシの幼虫に根がどんどん食べられてしまうと、最悪の場合は枯れてしまいます。
元気のない株で、9月に確認を行っていなかった場合は、今一度確認してみてください。
予防薬…ベニカXガード粒剤、オルトランDX等
※詳しくはYouTube動画…葉が黄変?株が不調?コガネムシの食害かもしれません をご覧ください。
色が魅力的です。気温が下がり、色が濃くなるため「春バラより秋バラが好き」という方も少なくないかと思います。
また、春の花は2月に強剪定(本剪定)して一斉にグーンと伸び、ほぼ同時期に沢山咲きますが、半月ほどで終わってしまいます。一方秋の花は、四季咲き品種であたたかい地域、かつお手入れを適切にすれば3ヶ月ぐらい楽しむことができます。状況やお手入れが良ければ、12月ごろまで繰り返し咲く四季咲き品種もあり、春バラより長く楽しめることがあります。
それぞれの季節でバラを楽しまれて下さいね。
今接いでいる株は、2027年の新苗、2028年の大苗となる予定です。
6月某日。庭を見回すと何かのフンが…!
そしてこちらは新芽を食べつくされた無惨な枝…
これは何かいる!…と警戒してみていると、薄いグレーの尺取り虫が!
これは小さな蛾の幼虫で、葉も蕾もむしゃむしゃと旺盛に食べてしまいます。発見次第、1匹1匹つまんで退治していたのですが、葉の被害は止まらず困っていました。
なんとチュウレンジバチが卵を産んだ形跡も…。もう踏んだり蹴ったりです。
薬剤がよくつくように展着剤のダインも併用します。
バラにつくイモムシというのはいくつか種類がありますが、今回紹介するホソオビアシブトクチバはどのイモムシなのでしょうか?
5~10月に現れます。
個体によって違いはありますが、薄茶色・グレー・ベージュのような色合いです。
模様はありますが、あまり派手ではありません。体に沿った太い線と、ところどころに白い点があります。
大きいものは8㎝の長さまで育ちます。頭の大きさに対して体が長いです。
尺を取って歩きません。イモムシらしく歩きます。
隠れ上手で、バラの枝に沿ってくっついていることが多いです。
また、フチを好むようで、葉のフチや、鉢植えの場合は鉢のフチにいる場合もあります。
動き回るよりはじっとしていることが多いです。
枝や何かのフチにいることが多いので、パッと見では見つけづらいのが特徴です。
じっとしていることが多いイモムシではありますが、育ち盛りの幼虫はモリモリ食べますので、放っておくと知らぬ間に葉っぱがなくなっていってしまうかもしれません。
また時に蕾や花弁を食べてしまうこともあります。
ホソオビアシブトクチバへの対処法としては、捕殺や薬剤散布といった一般的な防虫方法が有効です。
○捕殺
枝やフチに沿ってじっとしていることが多く、隠れ名人なのでよく探さないと見逃してしまいます。
毛や毒はないので、素肌に触れても大丈夫です。
○薬剤散布
一般的な殺虫剤が有効です。
・KINCHO園芸園芸ベニカXファインスプレー
・オルトラン
・マラソン
・スミチオン
ベニカR乳剤もよく効果がありました!…ブログ記事「スタッフが効果を実感している薬剤 ベニカR乳剤 尺取虫、チュウレンジバチ」
ホソオビアシブトクチバはチョウ目ヤガ科に分類される蛾の一種です。
ヤガ科は蛾の中でとても大きなグループで日本だけでも1200種以上が知られています。
つまり、似た仲間がたくさんいる、多様性のある科ということです。
科より細かい分類の同じ属の仲間はホソビアシブトクチバを含めて4種います。
Parallelia属
・アシブトクチバ
・タイリクアシブトクチバ
・ヒメアシブトクチバ
・ホソオビアシブトクチバ
4種は成虫・幼虫ともに見た目はよく似ていますが、幼虫の食草はそれぞれ違うので、バラにやってくるのはホソオビアシブトクチバのみです。
またホソオビアシブトクチバの幼虫はバラ以外にウバメガシ(ブナ科)、トウゴマ(トウダイグサ科)、サルスベリ(ミソハギ科)等も食べます。
ウバメガシやサルスベリはよく生垣や植栽として利用されている植物ですね。
成虫は5~10月に見られ、大きさは開張4㎝前後、
500円玉に乗せると翅ははみ出すくらいの大きさの、中くらいの蛾です。
バラの葉を食べる害虫、ホソオビアシブトクチバという蛾について紹介しました。
少々見つけにくいですが、普通の防虫方法が有効ですので、他の害虫対策も兼ねて対策しましょう。
ここ最近秋めいてきましたが、人が過ごしやすくなるということは虫も活動しやすくなるということでもあります。秋バラを楽しみたい方も多いでしょうから、病害虫対策はしっかりとやっていきたいものですね。
以前から「スタンダードローズについてもっと知りたい!」「自分の手で作ってみたい!」という熱いお声をじわじわといただいており、今回満を持しての開催となりました。
7月、8月は「とにかく枯れずに夏を乗り越えること」が大事で、猛暑で木が疲れ、花は小さくて見栄えがしませんでした。が、気温が下がる秋になると「バラを楽しむ」季節になります。
夏の続きで地植えでも鉢植えでも四季咲き性のバラの場合、放っておいてももちろん新芽は出ますが、咲いた後の花柄を放置したり、伸び放題の枝を放置しておくと栄養を取られたり樹形が崩れてしまいます。
これから迎える秋は、春に次いで花を楽しめる季節です。秋バラは色も深く大変魅力的に咲きますので、せっかくですのでそれを見据えてこのタイミングで一度枝を整理し、樹形を綺麗にしてあげましょう。ポイントは、元気に光合成するための葉は沢山残しながら樹形を整えることです。
温度が下がってくるとバラにとって最適な季節になりますので、根も動き出して木が活発になり新たな秋バラに向けての新芽も出てきます。それに人がお手伝い(枯れ枝を取り除いたり、形を整えたりして)あげると、10月ごろに咲く秋バラがより元気に魅力的になります。
※よくいわれる「夏剪定」について動画でお話しました。バラの夏剪定をゆったり語る 気楽に考えてね
※つるバラに関してはこちらをご参考にしてください。夏に伸びすぎてしまったつるばらの処置、基本の考え方
夏は病気も比較的出づらく、虫たちにとっても厳しい時期でした。ですが、温度が下がってくると病害虫にとっても同じく良い時期になります。人も、ちょっと涼しくなってきたなと快適に思っていると、気づけば虫に蕾をかじられていた、ということはよくあります。早期発見につとめ、害虫は付いたら殺虫剤をかけ、病気はひどくならないよう予防からも消毒・薬剤散布を心がけましょう。
病気でとくに注意するのは黒星病(秋は落葉は仕方がないのですが、光合成のために出来る限り葉を残しておきたい)、害虫は新芽を食べる芋虫系、蛾の幼虫など、要注意です。
肥料は月に一度ぐらい、適量を与えます。
葉が黄色くなってしまったと言うお客様からのお問い合わせがありましたが、よくお話をお伺いすると肥料を一度も与えたことがなかったそうです。栄養不足でも葉は黄変してしまいます。ただ、あげすぎには要注意です。
ご覧いただきお気づきかと思いますが、「秋だから」と特別なことはありません。きちんとした肥培管理をすれば、それにバラは応えてくれますので難しく考えず、日常の基本的なお世話を心がけて下さい。
※適量の肥料、実演の動画…バラの肥料について 生産農家の考え(28:29ごろから)