○市販のスプレー剤
目安:1~3鉢
ホームセンターやスーパーの園芸用品コーナー等で購入できる、手軽でとても入手しやすいものです。はじめから適切な濃度の薬剤がスプレーボトルに入れられているので、買ってすぐに使用できます。
数鉢であればこちらで事足りますが、薬剤散布が必要なバラの数が多くなると何本も必要になり、ずっとスプレーし続けていると腱鞘炎になってしまう場合もありますので、その場合はタンクのある噴霧器を使用しましょう。
○蓄圧式噴霧器
目安:5~10鉢
手動のポンプでタンクに圧力をかけるタイプの噴霧器です。家庭用としては一般的なもので、タンク容量は2~5Lのものが多く販売されています。
連続噴霧ができますが、しばらくすると圧がなくなるため、その都度ポンプで圧をかける必要があります。
が、比較的安価に入手できますので、初心者の方もこのあたりは1台はご用意いただくと良いですね。スプレーに比べ、圧倒的に薬剤散布が楽になります。
このブログの下に噴霧器の使用方法の動画を掲載しておりますので、ぜひご覧ください。
○背負い型蓄圧式噴霧器
目安:10~20鉢、花壇
上記の蓄圧式噴霧器のタンク容量が大きいものです。圧力は本体横のレバーでかけるので、背負ったまま噴霧し続けることができます。
背負うので移動しやすいですが、12~18Lのタンク容量をいっぱいにするとそれ相応の重さになります。
写真のものは、丈夫で長持ちすると園主が愛用している桃太郎です。
以上がご家庭ででおすすめできる噴霧器です。以下は、プロや農家が使用する噴霧器ですのでご参考までにご覧いただければと思います。
○エンジン式噴霧器
目安:20鉢以上、広範囲
噴射の動力が、圧力ではなくエンジンの噴霧器です。背負い動噴とも呼ばれます。
エンジンを動かすためにガソリンが必要になりますが、その分パワフルで長時間使用することができます。圃場のような規模の大きい場所で適します。
タンク容量は20Lですが、エンジンが重たいため、一番重いと30kg弱になります。
○動噴(動力噴霧機)
大きなタンクと大きなエンジンで、より広範囲・長時間の噴霧を行う場合に使用するものです。
タンクとエンジンは置いたまま、長いホースを伸ばして噴霧します。
薬剤散布をする時、はじめに行なうのが薬剤選びです。特に噴霧器を使用する場合は希釈用の農薬を購入して使用することをおすすめします。今対処・予防したいのは虫なのか、病気なのか、よく考えながらどの薬剤を使用するか決めることがとても大切です。
希釈用の薬剤は500倍や1000倍など、かなり薄くして使うものが多いです。また、殺虫剤と殺菌剤は混ぜて使うことが出来る場合が多いです。市販のハンディスプレーで殺菌・殺虫どちらも効果があるものがありますが、それと同じです。薬剤によって混ぜると危険なものもありますので、薬剤の説明を読んでから混ぜましょう。
また展着剤を混ぜることで薬の効果を高めることができます。展着剤はのりのような役割があり、より長く葉に薬が留まるようになります。
いずれの場合でも、必ず薬剤の説明書きをよく読み、希釈濃度を守って散布しましょう。
殺菌剤サプロール乳剤
殺虫剤マラソン乳剤
展着剤スカッシュ
薬剤散布する時は、上からだけでなく、下からも噴霧しましょう。特に下からは念入りに行います。
黒点病などの菌・ウイルス由来の病気は下から入ってくることが多く、上から噴霧するだけでは殺菌剤の効果が発揮されにくいのです。また、裏側は薬剤がかかりにくいので、より念入りに噴霧する必要があります。
また、同じ薬剤を使い続けるのは、病害虫に耐性ができてしまう可能性があるのでおすすめできません。
病害虫と薬剤散布についてはYouTubeでも解説していますので、こちらも合わせてご覧ください。
Q.希釈用の農薬を希釈する時、水が先ですか?薬が先ですか?
A.どちらが先でも構いませんが、必ずよく混ぜてから使ってください。水を先に入れ、そこに薬剤を垂らすほうが混ざらない心配は少ないでしょう。
Q.うまく混ざっている気がしません!タンクが重くて振れません!
A.噴霧器のタンクに直接薬剤と水を注いで混ぜるのは構いませんが、丸っこいタンクは持ちづらく混ぜにくいでしょう。
そんなときは、空のペットボトルを用いて先に薬剤と水を混ぜてからタンクに注ぎましょう。ペットボトルで作った薬剤は2~3日もちますが、長期保存はできません。なるべくその日に使うだけの量を作りましょう。
Q.噴霧器は毎回きれいに洗った方が良いのでしょうか?
A.毎回洗ってきれいにするに越したことはありませんが、使ったまま置いておいても基本的には大丈夫です。神経質になる必要はありません。
乳剤や展着剤は白濁して固まりそうに見えますが、かなり濃度は薄いので、それらでノズルが詰まることもありません。
ただし、銅を含む殺菌薬、いわゆる銅剤を使用する場合は要注意です。金属の部品を腐食したり、他の薬剤と化学反応を起こして変質したり、その変質した成分が薬害の原因になったりします。
また、銅剤でなくても金属部分に薬剤が付いたままですと錆びや劣化の原因になりますので、お手持ちの噴霧器・使用する薬剤の種類はしっかり確認して使いましょう。
Q.蓄圧式噴霧器の噴口は液の出方が調節できるようになっていますが、どのくらいが良いのでしょうか?
A.ピンポイントに薬をかけたい場所があるならばストレートでも構いませんが、基本的には細かいミスト状が好ましいです。特に黒点病等の菌は下からバラに付着するため、葉の裏側に薬をかけるのが効果的です。水滴が大きいよりも細かい方が裏にかかりやすいです。
詳しくは動画で解説しておりますので、ぜひご覧くださいませ。
00:00質問、はじめに
01:52スプレー式
03:52蓄圧式噴霧器1
06:52蓄圧式噴霧器2桃太郎
10:07【プロ】エンジン噴霧器
12:00【プロ】動力噴霧器
13:57家庭用噴霧器選び
15:27使い方、薬液づくり
21:52使い方、圧をかける
24:58使い方、散布
30:07質問、洗浄について
31:19質問、薬液の上手な作り方
33:30プロのエンジン噴霧器