ピエールドロンサールは、1985年/フランスで作出された品種です。
花はクリーム色の大輪、花の中心に向かうほどピンクを増します。系統はつるバラに属し、生育旺盛で丈夫で大変育てやすい品種です。一季咲きの多いつるバラでありながら、枝を伸ばせばよく繰り返し咲きをし、秋までたくさんの花を楽しませてくれます。また短く剪定した場合も、春には花をよくつけます。(普通のつるバラは短く剪定すると春であっても花付きが悪くなります。)
病害虫に強く生育旺盛で、失敗が少ない品種なので、バラを始められる初心者さんにこそ、入門品種としてぜひともオススメしたい品種です。
ピエールドロンサールは大輪系のつるバラですので、基本的には鉢ではなく露地でのびのび育てるのにオススメしたい品種です。露地植え出来ないときは、10号鉢以上の大き目な鉢やプランターをおすすめします。容量が小さくなれば鉢土が早く乾き、水やりの回数も増し、バラにストレスを与えます。鉢で育てた場合でも、出来る限り枝を長く伸ばしてあげた方が花付きが良くなります。
ベランダでの管理は、水やり・追肥などの基本作業と、太陽光の調整、風対策が必要です。
露地植えではあまり問題になりませんが、鉢栽培の場合は生育旺盛なので土が乾きやすいです。乾いたら水をあげるというように、基本を大切にしましょう。また、小さい鉢ですと、とくに乾きやすいので、大きめの鉢がやはりおすすめです。
水やりの基本はこちらの動画をご参照ください。
YouTube動画:バラの水やり バラ50年プロの生産農家より
スペースが許すならば出来る限り大きく伸ばしましょう。花がらだけをつむようにしてください。
つるバラがもつ基本的な性質は、その年にすっと伸びた新しい枝には花をつけず、2年目以降の伸びた枝の先に花を持ちます。そのような枝が増えた場合、ロンサールの返り咲き性の強さも相まって春の一番花から始まって7月ごろまで長く開花します。
なので、開花後に強く剪定してしまうと花の付く間隔が長くなります。
来春に向けての冬の本剪定は、12月~2月末までに終わらせましょう。
つるバラの冬の本剪定につきましては、こちらの動画で詳しく解説しましたので、ご覧下さい。ロンサールに限らず、つるバラの基本的な考え方がおわかりいただけるかと思います。
YouTube動画:【プロのやり方】つるバラの冬剪定の基本
ピエールドゥロンサールは、基本的に生育旺盛なつるバラですので、大き目なオベリスクやフェンスなど広い場所での誘引が適切です。お庭の中でスペースを確保できない場合は、ポール仕立てなどで高さを出すのも一つの手段です。伸び伸びさせてあげるのがロンサールがもともともつ性質を十分に生かせ、この品種のすばらしさが十分に発揮できます。
また年を経ると枝が太くなりますので、繊細なオベリスクでは枝が曲げづらくなるかもしれません。
ベランダで育てる場合は手すりなどに這わせてあげられたら良いですね。
つるバラの誘引についても動画で実践していますので、ご参考にされてみてください。沢山咲かせるコツは下の方に誘引することです。
YouTube動画:【沢山咲かせる】つるばら誘引&質問
開花後に花がらだけ切っていき、ついた蕾がすべて咲き終わった枝は次の花芽が付くところ、またはその下で切り戻し、樹形全体をお好みの大きさに整えてください(四季咲きのような剪定)。ブッシュ(木立)仕立てにしてコンパクトに剪定することはもちろん可能ですが、株を小さくすると、もちろんその分は花数は減ります。返り咲き性も弱まる可能性が高いですが、ロンサールの強さで春にはお花をつけてくれるでしょう。
とくに、ピエールドゥロンサールだから気をつけなくてはいけない病害虫はありません。生育旺盛で、バラを始められる方におすすめなのもそのためです。一般的な対策で十分です。
病気→ 黒点病、うどんこ病
虫→ アブラムシ、コガネムシ、バラゾウムシ、ダニ類
バラの花言葉は「愛」、
中でもピンクのバラは「完璧な幸せ」、
白いバラは「私はあなたにふさわしい」。
ではピンクと白をあわせ持つこの花は?
プロポーズしかないような…
ピエール ドゥ ロンサール
Pierre de Ronsard (1524-1585)
ルネッサンス期のフランスの詩人です。若い頃から「詩の王子」として称えられ、宮廷詩人としての地位を確立しました。その後、政変や病に翻弄されながらも詩への情熱を失わず、ギリシャ古典の研究を踏まえ、フランスの田園風景、美しい女性やかなわぬ恋などを叙情的にうたっています。いくつかは歌になり、今もフランスでフォークソングとして親しまれています。
Mignonne, allons voir si la rose
(かわいい人、このバラをごらん)
この原題をYouTubeで検索してみると、長調で歌われるかわいらしいアニメと、短調のリュートの伴奏でものうげに歌われる動画が見つかります。
この詩はどちらの気分なのかと戸惑われるかもしれません。内容はバラの美しさとはかなさを歌っているのですが。
もとは「À CASSANDRE カッサンドルに」という女性に寄せた詩です。彼女はイタリアの銀行家の娘で15歳、ロンサールは21歳の時の出会いでした。ロンサールは貴族の出ですが、10代後半に病気によって片方の聴力を失ってしまいます。その後は教会の援助で学んでいましたが、聖職者でもあったので結婚はできなかったのです。
ロンサールはガーデニングも好んでいたそうです。彼がかつて住んだ館の庭には、今でも数々のバラが咲き乱れています。