これはバラハタマバチという小さなハチによるものです。
この玉は卵ではなく、ハチが産卵した所のバラの組織が変形してできた虫こぶというものです。
中には幼虫が1匹入っています。
園内では、台木用の種を取るためのノイバラでよく見かけます。
バラハタマバチはタマバチ科という虫こぶをつくるハチの仲間で、成虫は大きさ約3㎜と非常に小さく、屋外で見つけることはとても難しいです。ただ、小さくて見つからないだけで珍しい虫ではありません。
4-5月に成虫がバラの葉の裏に産卵すると、バラの組織が卵を包み込むように変形し、まん丸になります。そして大きいものでは1㎝程度まで大きくなります。
しばらくするとリンゴのように赤くなり、6-8月頃には自然に葉から落ちます。
落ちたあとの虫こぶは水分が飛んで茶色いスポンジ状になります。土の上で冬を迎え、春になると虫こぶの中で成虫になったタマバチが出てきて、またバラに卵を産みます。
中にいる幼虫は育ちきった虫こぶの中だけを食べるため、バラ自体に大きな影響はありません。虫こぶがたくさんできることも、元気な株ならば大きな影響はないでしょう。成虫はハチですが、刺さないハチですので、人間への害もありません。
しかし、ノイバラでは蕾やがくに虫こぶができることもあり、花を楽しみたい場合は害になってしまう場合があります。
また、バラや人間にとって何か有益なことはありません。
つまり、バラハタマバチは害虫でも益虫でもありません。
不要と考えます。
虫こぶは特に害になることはなく、通常であれば自然に落ちるものなので、放っておいて構いません。もし、ご家庭のバラに虫こぶを見つけた時は、同じお庭に住まう仲間だと思って見守るのはいかがでしょうか。
どうしても気になるようであれば、葉を取り除くことや、市販の殺虫剤をお試しください。