バラの病害虫と対策
バラの病害虫と対策について、篠宮バラ園、園主の長年の経験からお伝えします。

うどんこ病は4~6月と、9~10月ごろに発生しやすい病気です。窒素過多で、徒長した(ひょっろっと間延びした)蕾にも多く見られる反面、高温期には発生が少なくなります。
陽当りと風通しが大事で、春と秋の病気の発生に適した条件で勢いよく広がりますが、早めの対応によって被害をおさえる事ができます。
「アブラムシを付かないようにする」といった対策はありません!いかに被害を最小限に抑えるかが大切です。春先になると柔らかい新芽が伸びてきます。この柔らかくて美味しい新芽はアブラムシの好物なのです。新芽の樹液を求め群がり始めます。
病害虫の対応は、いずれも初期対応が一番大事です。対応としては、アブラムシは新しい梢の先端に付きますので、早い段階であればセロテープで除去したり、手で摘まんで潰してしまえばOKです。粘着くんの噴霧でも殺すこともできます。対応が遅れてしまうと、薬剤の全体散布となります。
コガネムシは、成虫と幼虫でそれぞれ被害が異なります。成虫は夏から秋にかけて花びらや葉を食害しますが、幼虫はバラの根を食害し大きな被害をもたらします。幼虫は鉢底からも侵入し、鉢の植替時などに発見され、後から生育障害の原因であったことが判明します。
症状としては、葉の表面がかすれた様になり、やがて落葉します。症状が進むとクモの巣状になりバラの生育を妨げます。高温期に多く発生し、一度発生すると瞬く間に広まります。ダニはクモの仲間で水を嫌う性質があるので、水やりの時に葉裏を水で洗うようにすると効果的です。
4月中旬ごろになったら、週に1~2回の殺虫剤の散布をおすすめします。蕾が大きくなると幹も固くなるので大丈夫です。ゾウムシの仲間は世界各所に何百種類もいると言われています。その中でバラゾウムシとい体長3mm足らずの小さな虫が、大切なバラの蕾を枯らしてしまいます。
4月中旬ごろ新梢が5~10cn位になると、小さな蕾が顔を出します。この若い蕾を目当てに外から飛来してきます。
花首の幹に像のような触手を刺し、樹液を吸います。被害にあった蕾は開花することはありません。ひどいときは一つも花を付けないこともあります。バラに付くテッポウ虫はカミキリ虫、特にゴマダラカミキリの幼虫を指します。
「家で育てているバラが急に元気がなくなった」「葉が黄変してしまった」というお問い合わせをお客様からよくいただきます。
バラの元気がなくなったり葉が黄変する原因は、そのバラの置かれている環境や管理方法などによって変わりますが、それでも複数考えられます。時にはいくつもの原因が重なっている場合もあります。
その複数ある原因の中のひとつに、「コガネムシ類の幼虫による根の食害」があります。
植物にとって根は心臓のようなものですので、その根が害されているのを放っておくとあっという間に枯れてしまうかもしれません。
コガネムシ類はバラに対して、幼虫と成虫で別の被害を与えます。それぞれ見ていきましょう。
○幼虫の場合
コガネムシ類の幼虫は、バラの根を食べ、株を弱らせてしまいます。
土の中で卵から生まれた幼虫は植物の根を食べて成長します。成長のための食事ですので、食べる量が非常に多く、他に食べるもの、例えば周りに他の木や株が無い場合は木が枯れてしまうほどの被害が出てしまいます。特に鉢植えで顕著です。
コガネムシ類の幼虫は土の中にいるため、外から眺めるだけではいるかどうかわかりません。幼虫による根の食害があると、次のような症状があらわれます。
・バラ株の元気がなくなる
・葉がたくさん黄色になる
・水やりをしても水がはけにくい
・苗を揺らすとグラグラする 等
○成虫の場合
コガネムシ類の成虫は葉を食べるものが多く、バラに対しては葉や花弁を食べます。
多少葉が食べられる分にはバラへの影響は少ないですが、コガネムシ類の成虫はかなりの量の葉を食べるため、あっという間に葉を食べ尽くしてしまう場合もあります。
また、コガネムシ類成虫はよく飛びます。遠くから飛んでくるため、バラに来ている虫を駆除しても被害が完全になくなるわけではありません。
コガネムシ類は先述のとおり成虫と幼虫で害が違いますので、防除もそれぞれ別で行う必要があります。
成虫は遠くから飛んできて葉を食べるため、予防するのはとても難しいです。予防できないと考えた方が良いでしょう。
ずっと居着いて葉を食べ尽くしてしまいそうでしたら、取り除いて遠くに放るか、一般的な殺虫剤をご使用ください。
幼虫は土の中にいます。
鉢植えのバラで、根が食害されている疑いがある場合、苗を鉢から抜き取り、幼虫がいないか観察してみてください。この時、根を傷つけないよう、土を崩さないように気をつけましょう。幼虫は鉢の下のほうにいることが多いです。見つけた場合は取り除きましょう。
鉢に戻した後、もしくは見つからなかった場合や地植えの場合は、ダイアジノン粒剤やオルトラン粒剤といったコガネムシ類幼虫に効く薬を土に散布しましょう。土の中にもしコガネムシ類の卵があっても、薬剤を撒いておくことで孵化した途端に薬が効きます。
鉢を土の上に置いている場合、コガネムシ類幼虫は鉢の下から侵入してきます。これを防ぐために、あらかじめ鉢底ネットを使用し下から来る幼虫を通さないことが予防として有効です。
つまり、幼虫対策は薬剤と鉢底ネットが有効ということです。
バラを害するコガネムシ類は、バラしか食べられないわけではありません。それは幼虫も成虫も同じです。
コガネムシ類の多くは広葉樹であれば何でも食べます。種類によっては針葉樹も食べるものもいます。多少の好き嫌いはありますが、数多くある植物の中で、たまたまバラを食べているにすぎないのです。
また、バラが園芸植物であることもコガネムシ類がバラに集まる理由のひとつでしょう。品種改良を繰り返した植物は、植物本来の自衛能力が弱まってしまうことがあり、それによって野生の植物よりも虫にとって食べやすくなってしまい、虫が集まるのです。また、お庭という人工的な空間では害虫の天敵が少なく、害が出やすいというのもあります。
バラにはさまざまなコガネムシ類が集いますが、バラにやってくるコガネムシ類の全てがバラに害を与えるわけではありません。いるだけで害だと言われてしまえばそれまでですが、その中にはただ花粉や蜜を食べているだけ、もしくはただ葉に乗って休んでいるだけのコガネムシ類もいるのです。日本にはコガネムシの仲間が約360種もいると言われていますので、バラに対してどうであるかも多様性があるのです。
バラでよく見られるコガネムシ類にはどんなものがいるのでしょうか。ご紹介します。
○アオドウガネ
大きさ1.5~2.5㎝ 成虫時期5~10月
おそらく、関東以南の多くの人にとって最も目にする機会の多いコガネムシの仲間です。また、「コガネムシ」と呼ばれているもののほとんどがこのアオドウガネである可能性が高いです。
アオドウガネは丸っこく可愛らしい見た目に反して、バラにとっては成虫・幼虫ともに大きな害を及ぼします。また、とても数が多く非常に厄介な害虫です。
幼虫は、カブトムシの幼虫と似た姿をしていますが、カブトムシよりもふた回りほど小さく足が長いのが特徴です。
成虫は横から見ると鮮やかな緑色、上から見ると渋い緑色でと角度で色が変わります。形は丸っこく、おしりやからだに毛が生えてふさふさです。夜行性で街灯などの灯りによく集まります。
○ナガチャコガネ
大きさ1.0~1.4㎝ 成虫時期6~8月
薄皮のついたピーナッツのような色・形・大きさのコガネムシです。黄褐色で表面はツヤツヤしています。
ナガチャコガネは、幼虫による根の食害がとても多いですが、成虫はあまり問題になりません。しかし、幼虫は小さく数が多いため、アオドウガネに次いで厄介な害虫といえるでしょう。
○ビロウドコガネ
大きさ0.7~1.0㎝ 成虫時期4~10月
黒大豆のような黒くて丸いコガネムシの仲間です。名前のとおりベルベット生地のようなマットな光沢があります。近い仲間で少し細長いものや茶色いものもいます。
成虫は葉や花弁を、幼虫は根を食べますが、アオドウガネやナガチャコガネほど数は多くなく、ビロウドコガネだけで甚大な被害が出ることはないでしょう。
○マメコガネ・セマダラコガネ
大きさ0.5~0.8㎝ 成虫時期4~7月○ハナムグリの仲間
ハナムグリの仲間もよくコガネムシとひとまとめにされがちですが、ハナムグリは花粉や花の蜜を食べているだけなので、バラに特別大きな危害を加えることはありません。ハナムグリという名は「花潜り」から来ています。葉を食べるコガネムシ類の口には葉をちぎるための鋭いあごがありますが、ハナムグリの口はブラシ状であるため、かたい葉を食べることはできません。
しかし、固いからだでやわらかい花の上に乗るため、花弁を傷つけてしまうことがあります。また、ちゃっかり花弁を食べていることもあります。
大きさ1.7~2.4㎝。 成虫時期5~8月
当園でも洗い流そうといたしましたが、なかなかとれないやっかいものです。見た目は良くないのですが、成長に大きな影響ありません。
3月下旬、しばらく経ってたくさん新芽が伸び、そしてやっとついて膨らみだした蕾に胸躍らせ、開花の時を楽しみに待っていたら……
4月上旬~中旬、新芽がほどよく伸びてそろそろ蕾が付いてくるかな?という頃にバラゾウムシはやってきます。
バラゾウムシが狙うのは、新芽や蕾などの若くて柔らかいところです。
バラゾウムシは新芽や蕾に産卵すると首の部分を傷付け、折ってしまいます。また、産卵していなくても、バラの至る所を傷付けることもあります。
傷付けられた新芽はチリチリに枯れてしまいます。
枯れてしまいますので、その新芽が伸びることも、蕾が開くこともありません。
また、株の勢いが控えめで、伸びてくる新芽や蕾が少ない場合、新芽が出る度にバラゾウムシにやられてしまい、一度も花を見ることなくシーズンを終えてしまう場合もあるでしょう。
○薬剤散布
4月中旬より週に1,2回、殺虫剤を散布することをオススメします。
この殺虫剤散布は、バラに止まっているバラゾウムシに直接吹きかけることが目的です。
バラゾウムシは3mm程度と小さく、ひとつひとつ見つけて捕まえるのは苦労するでしょう。
ですので、定期的に薬剤散布することでなるべく被害を少なくしていきます。
薬剤散布する時は、虫のいるところだけでなく、上からも下からも全面に散布しましょう。
オルトラン粒剤のような、粒剤を土に撒く浸透移行性の薬剤は、植物体が虫にかじられることで効果を発揮するため、傷付けられなくする効果はあまり期待できません。
特に有効な薬剤:スミチオン、マラソン、ベニカR乳剤
おすすめの場合:バラの株数が多い、虫を見たり見分けたりしたくない、大雑把に済ませたい
薬剤散布については噴霧器のいろいろと薬剤散布 初心者さんへプロが教える消毒の仕方でより詳しく解説しております。
○捕獲
捕獲する場合、叩いて落とす方法がもっとも簡単かつ効率的です。
方法は簡単、バラの枝を叩いて揺らすだけです。
ですが、ただ揺らして落とすだけで地面に放っておいては、すぐにバラゾウムシはバラに戻ってしまいます。
ちゃんと捕獲するために、叩く前にあらかじめバラの真下に布やビニールシートを敷いておくか、大きな株でしたら開いた傘を下に向けて、叩く枝の下に差し込む等して、落ちる虫をキャッチできるようにしておきましょう。
持ち上げられる鉢植えでしたら、ビニールシート等の上で鉢を傾けて枝を叩くこともできますね。
この方法は「ビーティング法」といって、昆虫採集でよく使われる方法でもあります。
叩き方には少しコツがあります。
ゆさゆさと揺らすのではなく、バンバンと衝撃を与えることを意識して叩くのです。ゆさゆさ揺さぶってしまうと、そよ風で枝葉が揺れているのと変わらず、虫はしがみついたままです。
ですので、手よりも棒で叩くと衝撃を与えやすいですが、強く叩きすぎて枝を折ったり株を傷付けたりしないようにだけは要注意です!
また、揺らし方を失敗すると飛んで逃げられることもあります。
しかし飛んで逃げられても、そのバラからは去るので良いとも考えられます。物事は考え方次第ですね。
バラゾウムシを含む一部の昆虫たちは、突然の衝撃を感じるといわゆる“死んだふり”をします。
バラゾウムシは体長3mmほどの小さな甲虫です。
体は固く、象の鼻のように長い口吻(口)を持っています。
4~9月頃に出現します。
バラゾウムシと呼ばれているものは基本的にクロケシツブチョッキリというゾウムシの仲間です。
(多くのWebサイトでは、バラゾウムシ=クロケシツブチョッキリと解説していますが、似たような見た目で同じ環境に生息し、同じようにバラを害する違う種類のチョッキリもいるのでそれらの種もまとめてバラゾウムシと総称している可能性があります。)
バラゾウムシのメス成虫は新芽や蕾に産卵すると、その根元を象の鼻のように長い口吻で齧り、傷付けて折ってしまいます。
折れた新芽は枯れてしまいますが、その中で卵が孵り、生まれた幼虫はその枯れた新芽や蕾を食べて成長します。つまり幼虫は生の葉は食べないのです。
折れて枯れた新芽はそのうち地面に落ちます。枯れた新芽を食べて成長しきった幼虫は、土の中に潜り蛹になります。そして蛹から成虫に羽化したバラゾウムシは土から出ると空へ飛んでいくのです。
バラゾウムシと呼ばれますが、バラだけでなく、ノイバラやサルスベリなどもよく利用しています。
ゾウムシの仲間は非常に多く、日本国内だけで1200種以上が確認されています。
種数が多いということは、多様性が高いためありとあらゆる様々な生き方をしているグループであることを意味しています。
ゾウムシの仲間の中でもさらにグループがあり、バラゾウムシがいるのはチョッキリゾウムシと呼ばれるグループで、このグループは面白い生態をしているのです。
チョッキリゾウムシの仲間は、それぞれが対象とする植物の先端寄りの部分(実・ドングリ・新芽・蕾・若葉等)に産卵をして、産卵した部分より少し根元の方を傷付け、折ったり落としたりします。中には、葉を何枚か合わせて作るゆりかごに産卵する器用な種もいます。
また、もっと器用に葉を巻いて卵を産み付けてから地面に落とすオトシブミという仲間もチョッキリゾウムシと非常に近い仲間です。
雑木林で暮らすものがほとんどですが、たまたま園芸植物や果樹を対象としているチョッキリたちが害虫として人間を困らせているのです。チョッキリに限ったことではなく、害虫全般に言えることですね。
今まで順調だった株が、何故かこの頃元気がない……
ふと株元を見てみたら、木屑?おが屑?のようなものがある……
もしかしたら木の中にテッポウムシ・カミキリムシの幼虫がいるかもしれません!
カミキリムシの幼虫を放っておくと、木が弱くなって折れてしまったり、枯死してしまったりします。
テッポウムシと物騒な名前で呼ばれていますが、そもそもテッポウムシとは何なのでしょうか?
テッポウムシとはカミキリムシの幼虫の俗称です。
主に害虫とされるカミキリの幼虫を指しています。
バラのテッポウムシというと『ゴマダラカミキリ』という種類のカミキリの幼虫ということになります。
バラを食害するカミキリムシはゴマダラカミキリ以外にも数種いますが、どれも成虫で2㎝以下の小型で、食べるのは成虫幼虫ともに枝だけで幹に影響はなく、枯れるほどの被害は出しません。
テッポウムシの由来は、樹の幹に開ける穴が鉄砲を撃って開けたような丸い穴であることから来ています。
○確認方法
まずは株元や根際をきれいに片づけましょう。
そして幼虫が侵入した穴を探します。
もし木屑のようなものがでているのであればその近くを、無ければ根際から株元の幹に穴を探します。
穴の位置は親が産卵した位置なのですが、腰の高さより上に産卵することは滅多にありません。
しかし、時には浅い根に穴がある場合もあるので、下はじゅうぶんに確認しましょう。上よりも下を重点的に探しましょう。
穴の大きさは2㎜前後、大きくても数㎜程度の小さな穴です。
○被害
幼虫は株元から侵入して木の中を食べ進めます。この時、木くずのようなものが株元に出てきますが、これは「フラス」と呼ばれるもので、木屑と幼虫の糞が混ざったものです。

木の中身を食べてしまうので、バラにとっては致命的な害になります。
若い株よりも数年栽培している古株で被害が出やすく、気づかずにいると枯れてしまいます。
○対処方法
かつて明治の頃、果樹農家では「注射でころしましょう鉄砲虫」と唄っていたそうですが、今もそれは変わりません。
大前提として、幼虫が侵入した穴を見つける必要があります。
その穴に殺虫剤を注入するというのが基本です。
どうしても穴が見つからなかった場合、細いドリルで木屑のようなものの近くに穴を開ける方法もありますが、自ら木を傷つけることになりますので、行う際は自己責任でお願いします。
殺虫剤は一般的なもので構いません
希釈用の殺虫剤でしたら、少し濃いめに希釈して、スポイト等で穴に注入してください。
薬剤は使いたくないという場合では、針金を穴に差し込み、中にいる幼虫を刺し殺すという方法もありますが、不確実なのであまりオススメはしません。
カミキリ駆除に特化している製品もあります :園芸用キンチョールE
園芸用キンチョールEには細長い専用ノズルが付属していて、カミキリの幼虫が侵入した小さな穴に差し込んで薬剤を注入することができます。
もちろん通常の噴射ノズルで通常の殺虫剤としても使えます。即効性があるのでとても便利です。
園主も愛用していまして、こちらの動画で古株のノイバラに使用しているとお話しています。
また、テッポウムシ専用の木の穴を塞ぐ密封剤もあります。
テッポーダン
多くのテッポウムシ対処方法では殺虫剤を注入した後に穴を塞げと書いていますが、なぜ穴を塞ぐ必要があるのでしょうか。
穴を塞いでおかないと、薬剤から逃れようとする幼虫が穴から這い出てくる場合があります。
また、薬が効いて中で幼虫が死んだとしても、その開いている穴からアリや菌が侵入し腐朽を進めてしまうという二次被害を起こす可能性もあります。
ですが、園主曰く穴は塞がなくても構わないとのことです。
幼虫のやわらかい体に殺虫剤が少しでも付着すれば、遅かれ早かれ薬が効いて死にます。
また穴からの腐朽に関しても、株がちゃんと元気であれば本来の抵抗・免疫で跳ねのけることができます。
好みの問題でもあるので、気になる方は塞いでも構いませんが塞がなくても結構です。
卵を産みにやってくる成虫に対しては、基本的に捕殺するしかありません。
通常の噴霧する殺虫剤やオルトランのようなものでも多少の効果はありますが、効果絶大とまではいかないのです。
さいわいにも成虫のいる時期は夏の間だけですので、春先や秋には成虫の来訪を気にする必要はありません。
成虫をどうにかするよりも、産み付けられた卵や木の中に侵入した幼虫にいち早く気付き対処することが大切です。
カミキリムシの仲間は日本国内だけで約800種が知られています。
その多くは枯れ木や倒木、伐採木などを食べる種類で、生木を食べるカミキリは少数派です。
ですが、バラをよく加害するゴマダラカミキリはその少数派である生木を利用するカミキリです。
また、多くのカミキリは特定の樹種しか食べないものが多いなか、ゴマダラカミキリの幼虫は非常に幅広い種類の生木を食べています。
バラといった花卉だけでなく、ミカン等の柑橘類やリンゴ、ナシ、クワ、イチジクといった果樹、ヤナギやシラカバ、プラタナスといった街路樹に利用される樹木もゴマダラカミキリの食樹となります。
また、樹木だけでなく草本であるイタドリでも発生することがあります。
ゴマダラカミキリはとても多くの種類の植物を利用しています。
ですので、山でも里でも、市街地や都会でも、もっともよく見かけるカミキリと言えるでしょう。
手で掴むとキィキィと鳴きます。発声しているわけではなく、胸と翅の根元をこすり合わせて音を出しています。
夏になると、成虫が木から出てきます。成虫の出現は6~9月です。
交尾したメスは目当ての木の根際や株元に産卵しにやってきます。
この時、ただ樹皮の上に産卵するのではなく、少し傷をつけて内側に卵を産みます。こうすることで孵化したばかりの幼虫が硬い樹皮に阻まれることなく、柔らかい材部分へ潜ることができるのです。
幼虫は孵化すると親のつけてくれた傷から樹に入っていきます。
生まれたての小さいうちは外側の辺材部を食べ、大きくなってくると内側の心材部を食べるようになります。
※木材の辺材部分・心材部分について
丸太や切り株で木の断面を見ると、中心のほうは色が濃く、外側は色が薄くなっていて、色の差はグラデーションにはならずにハッキリとした境界があります。
色が薄い外側の部分が辺材部分です。辺材部は生きた細胞でできていて、根から吸い上げた水や養分を上に運ぶのはこの部分です。
色が濃い内側の部分は心材部分です。心材部は死んだ細胞でできています。この死んだ細胞はかつて辺材部だったものです。死んだ細胞といえど、木を支える柱・骨としての役割があります。
辺材部より外側には樹皮があります。
幼虫は辺材部分から食べ進めるので、樹が栄養や水分を吸い上げる力や量が減ってしまいます。
さらに幼虫が大きくなり心材部分まで食べてしまうと、木の中身が空っぽになってしまい枯れたり折れたりする原因になってしまいます。
幼虫は基本的に孵化から2年近くかけて生木の中を食べて大きく育ちます。
そして春までに蛹になり、羽化し、夏になるのを木の中で待ち、時期が来ると成虫として外に出ていきます。
木の中を食べ進めるカミキリの幼虫にも天敵はいます。
カミキリの幼虫が木の中を食べ始めると、木が物質を放出してカミキリの天敵である寄生蜂を呼び寄せます。
寄生蜂は長い産卵管を持っているので木の中にいる幼虫まで管の先を届かせることができて、産卵します。カミキリ幼虫の体に産み付けられた寄生蜂の卵が孵ると、カミキリの幼虫は食べられてしまいます。
畑の土の粒と同じ程度の大きさです。
目や足が確認できました。どうやら虫のようです。
こちらは先ほどよりもフワフワが少なくからだがよく見えますね
この虫は、アミガサハゴロモ類の幼虫です。
アミガサハゴロモの仲間の幼虫はどれも似た姿をしていますが、近年特に市街地でよく目にするようになったものは「チュウゴクアミガサハゴロモRicania shantungensis(Chou&Lu,1977)」という外来のハゴロモです。
そもそもハゴロモとは何でしょう。
あまり聞き馴染みのない方も多いかもしれません。
ハゴロモはカメムシ目(半翅目)に含まれる昆虫です。
大きさは1㎝未満のものが多く、触ったり驚いたりするとピョンッと消えたかのようにジャンプするのが特徴的です。
カメムシ目の中でも、特にセミに近い仲間です。
もし興味があったら、ハゴロモの顔や体を拡大して見てみてください。セミのような姿形をしています。
セミに近い仲間ですが、他にもアワフキ・ツノゼミ・ヨコバイ・ウンカとも分類上近い仲間です。
☆チュウゴクアミガサハゴロモ
近年急拡大しているのがチュウゴクアミガサハゴロモです。
2015年に大阪で発生が確認されて以来、現在では関東以西の本州・四国・九州の広い範囲で生息確認されています。
この記事ではチュウゴクアミガサハゴロモのことを「外来ハゴロモ」として扱います。
○幼虫
幼虫は全身が白く、白いフワフワを背負っています。
このフワフワはロウ物質でできています。
ジャンプ力を生かして飛び上がり、このフワフワで風に乗って遠くに行くことができるようです。
孵化して間もないうちの幼虫は集団生活します。
なので枝にびっしりいることがあります。
○排泄物による被害
成虫・幼虫ともに排泄物が植物に付着するとすす病を引き起こします。
特に幼虫は大量に群れていることが多いので、より病気発生の可能性を上げてしまいます。
○産卵痕による被害
外来ハゴロモの産卵痕は変わった見た目をしています。
枝に白いフワフワが擦りつけられているように見えるのです。
外来ハゴロモは産卵する時、チュウレンジのように枝の中に卵を産むため枝に切れ込みができます。さらに、幼虫が背負っているような白いフワフワでその切れ込みを覆い隠します。
なので、もし産卵痕を見つけて白いところを拭っても、中に卵があるのであまり意味ありません。
またハゴロモは細い枝に好んで産卵します。
細い枝の中に産卵されると枯れる場合があります。
以上のことから、産卵痕は見た目が悪くなるばかりでなく、樹勢を弱めてしまう可能性や枝によっては枯れます。
吸汁性害虫なのでオルトラン水和剤やベニカ水溶剤などの浸透移行性剤に効果は期待できますが、
チュウゴクアミガサハゴロモは近年侵入し広がったものなので、メーカーによる農薬などの効果がまだ確認できていません。
もし外来ハゴロモに対して殺虫剤を使用する場合は自己責任でお願いします。
山梨県からは防除対策として産卵痕のある枝は土中深くに埋めるか焼却処分するように紹介しています。
当園からは、産卵痕のある枝の廃棄と捕殺をおすすめします。
枝は焼却が一番確実ではありますが、一般家庭で焚火するのは難しいでしょうから、燃えるゴミに出すのが良いですね。
白いフワフワを背負った虫はハゴロモ類の幼虫でした。
近年、大量発生しているこの虫はおそらく外来のハゴロモです。
外来のハゴロモは一種ではなく、複数が確認されていますが多くがチュウゴクアミガサハゴロモと推測します。
外来ハゴロモと見た目が似ている在来のハゴロモも存在しています。
バラに対しての害は、チュウレンジのような切れ込みの産卵痕、カイガラムシやアブラムシのような吸汁による衰弱や排泄物によるすす病があります。
バラだけでなく、多くの植物を利用します。
白いフワフワの虫が1匹いたところで「外来ハゴロモ!滅すべし」とするのはよろしくないですが、たくさん群れていたりするとカイガラムシやアブラムシと似たような症状が出てしまうため、たくさんいた場合には捕殺するか殺虫剤の使用を検討してみてください。
チュウレンジバチによる害というのはどれも特徴的です。
チュウレンジバチによる被害で一番甚大なのは葉の食害でしょう。
イモムシの大群が瞬く間に葉を食い荒らしていく姿は悪夢のようです。
また、もう一つ心配になる被害が成虫による産卵です。
緑色の若い枝に、縦に切れ目が入っている、またはそれが割けそうになっていたら、それはチュウレンジバチの産卵痕かもしれません。
チュウレンジバチのメス成虫は、枝に縦の切り込みを入れながらその中に産卵します。
この傷自体がバラの生育に大きな影響を及ぼすことはありません。しかし、その傷口から菌やウイルス等が侵入し病害が発生する可能性は否定できません。
また、卵が孵化するとその切れ目が開くので、枝に大きな傷ができてしまいバラ株の美観を損ねてしまいます。
さらに、中に卵がある状態でそのままにしておけば1週間程度でおびただしい数の幼虫が孵化し出てきて、その幼虫たちが葉を食い荒らすことになります。
○幼虫の場合
チュウレンジバチの幼虫は、孵化して間もないうちは集団で生活します。一枚の葉に群がることもよくあります。
一か所に集まっている場合は、集まっている葉ごと取り除きましょう。
小さいうちは集団でいる幼虫は大きくなると次第に分散していきます。
分散してしまっている場合は1頭ずつ取り除くか、一般的な殺虫剤やベニカR乳剤などを散布してください。
※関連ブログ:スタッフが効果を実感している薬剤 ベニカR乳剤 尺取虫、チュウレンジバチ
○成虫の場合
チュウレンジバチの成虫はフワフワとゆっくり飛びます。また、産卵のために枝に止まるとじっとしていることが多いので、飛んでいても止まっていても捕まえるのは簡単です。
刺さないので手でつまんで捕まえることもできます。
しかし、飛んでくる1頭のチュウレンジバチは自然界に存在するたくさんのチュウレンジバチたちの中の一つにすぎません。1頭捕殺したところで他のチュウレンジバチがやってくることでしょう。
捕殺だけでは埒が明かないので、薬剤散布を基本にしつつ、バラにチュウレンジバチが来ているのを見かけた場合は捕まえるか追い払うのが良いでしょう。
○産卵痕の場合
まだ卵が孵化していない場合、つまようじ等の細長い針を切れ目に挿し入れ、中の卵を潰してしまいましょう。潰す時は中の卵は2列になっていることを意識して潰しましょう。枝の裂傷は残りますが、幼虫が孵化してくることはありません。
卵を潰した後は1週間程度観察し、切れ目が開いていないか確認してください。もし開いていた場合は潰せていなかった卵が孵っているかもしれません。
チュウレンジバチは幼虫成虫ともに薬剤が有効です。特別効きにくかったり耐性が強かったりすることはありません。
薬剤散布することで、成虫による産卵と幼虫による葉の食害を防ぎます。
また、殺虫剤ですのでチュウレンジバチに直接薬剤がかかれば殺虫できるでしょう。
一般的な殺虫剤をはじめ、オルトラン、マラソン、スミチオン、アドマイヤー等を使用することで、他の害虫も合わせて予防できます。
チュウレンジバチとは、ハチ目ミフシハバチ科に分類されるハバチの仲間です。
ハバチというのは、漢字では葉蜂と書き、幼虫時代に葉を食べる蜂のことです。
チュウレンジは漢字で「鐫花娘子」と書き、花の茎に切り込みを入れて産卵する生態を表しています。
書籍・他Webサイト等では「チュウレンジ“ハ”バチ」と表記していることが多いですが、チュウレンジバチとチュウレンジハバチは同じものです。
(和名表記というものは、同じ種を指しているのに表記揺れや別名があることが多いのです。困ったものです……)
バラにやってくるチュウレンジバチの仲間は3種ほど(チュウレンジバチ・ニホンチュウレンジ・アカスジチュウレンジ)います。
どれも成虫幼虫ともに見た目・生態はよく似ていて、バラへの加害方法も同じです。
成虫は体長8㎜程度の小さくて黒っぽいハチです。お腹がオレンジ色でよく目立つのが特徴です。
毒は無く刺さないので、触っても危険はありません。
幼虫は警戒する時に、しゃちほこのようにお尻を上げる特徴的なポーズを取ります。
園内を散策中にチュウレンジハバチの成虫を見つけた動画です。4:42ごろから
チュウレンジバチは薬剤耐性が低いので、他の病害虫防除の薬剤散布で予防することができます。
しっかりと薬剤散布をしつつ、日々バラを観察しながら産卵痕や成虫の来訪が無いかを確認することでチュウレンジバチからバラを守っていきましょう!
バラにつくイモムシというのはいくつか種類がありますが、今回紹介するホソオビアシブトクチバはどのイモムシなのでしょうか?
5~10月に現れます。
個体によって違いはありますが、薄茶色・グレー・ベージュのような色合いです。
模様はありますが、あまり派手ではありません。体に沿った太い線と、ところどころに白い点があります。
大きいものは8㎝の長さまで育ちます。頭の大きさに対して体が長いです。
尺を取って歩きません。イモムシらしく歩きます。
隠れ上手で、バラの枝に沿ってくっついていることが多いです。
また、フチを好むようで、葉のフチや、鉢植えの場合は鉢のフチにいる場合もあります。
動き回るよりはじっとしていることが多いです。
枝や何かのフチにいることが多いので、パッと見では見つけづらいのが特徴です。
じっとしていることが多いイモムシではありますが、育ち盛りの幼虫はモリモリ食べますので、放っておくと知らぬ間に葉っぱがなくなっていってしまうかもしれません。
また時に蕾や花弁を食べてしまうこともあります。
ホソオビアシブトクチバへの対処法としては、捕殺や薬剤散布といった一般的な防虫方法が有効です。
○捕殺
枝やフチに沿ってじっとしていることが多く、隠れ名人なのでよく探さないと見逃してしまいます。
毛や毒はないので、素肌に触れても大丈夫です。
○薬剤散布
一般的な殺虫剤が有効です。
・住友化学園芸ベニカXファインスプレー
・オルトラン
・マラソン
・スミチオン
ベニカR乳剤もよく効果がありました!…ブログ記事「スタッフが効果を実感している薬剤 ベニカR乳剤 尺取虫、チュウレンジバチ」
ホソオビアシブトクチバはチョウ目ヤガ科に分類される蛾の一種です。
ヤガ科は蛾の中でとても大きなグループで日本だけでも1200種以上が知られています。
つまり、似た仲間がたくさんいる、多様性のある科ということです。
科より細かい分類の同じ属の仲間はホソビアシブトクチバを含めて4種います。
Parallelia属
・アシブトクチバ
・タイリクアシブトクチバ
・ヒメアシブトクチバ
・ホソオビアシブトクチバ
4種は成虫・幼虫ともに見た目はよく似ていますが、幼虫の食草はそれぞれ違うので、バラにやってくるのはホソオビアシブトクチバのみです。
またホソオビアシブトクチバの幼虫はバラ以外にウバメガシ(ブナ科)、トウゴマ(トウダイグサ科)、サルスベリ(ミソハギ科)等も食べます。
ウバメガシやサルスベリはよく生垣や植栽として利用されている植物ですね。
成虫は5~10月に見られ、大きさは開張4㎝前後、
500円玉に乗せると翅ははみ出すくらいの大きさの、中くらいの蛾です。
バラの葉を食べる害虫、ホソオビアシブトクチバという蛾について紹介しました。
少々見つけにくいですが、普通の防虫方法が有効ですので、他の害虫対策も兼ねて対策しましょう。
ここ最近秋めいてきましたが、人が過ごしやすくなるということは虫も活動しやすくなるということでもあります。秋バラを楽しみたい方も多いでしょうから、病害虫対策はしっかりとやっていきたいものですね。
このカメムシはキマダラカメムシといいます。
体長は約2.2cm、500円玉弱くらいで、日本に生息している中では最大級のカメムシです。
当園の所在する東京郊外の住宅地では、2024年現在もっとも人の目につきやすいカメムシと言えます。
キマダラカメムシは元々日本にいたわけではなく、中国・台湾・東南アジア等が原産の外来種です。日本では現在東京・愛知・近畿、中国、九州、沖縄地方に分布しています。
長崎から九州に広がったのは昭和初期のことですが、東京や名古屋に現れたのは2010年頃からのことです。
キマダラカメムシはサクラ、ハナミズキ、クワ、エノキ、カキノキ等といった街路樹や庭木としてよく使われる広葉樹を幅広く利用します。そのため、都市部で増えて分布を広げているのです。
キマダラカメムシに限らず、カメムシの口はストロー状になっていて、その多くが木や草の汁を吸って食事としています。
冬は成虫で越冬します。
越冬のために樹皮の隙間や雨戸の隙間を探して入り込むため、時折家の中に侵入してしまい生活害虫となる場合もあります。
○重大な被害は起こさない
キマダラカメムシに限らず、カメムシがバラを好んで食害するということはありません。
バラ専門で食すものはいませんが、色々なものを幅広くなんでも食べるというカメムシが一部バラも食すことはあるかもしれません。
その点で言えば、キマダラカメムシもバラを吸う可能性は否定できません。
しかし、吸っていたとしても被害は微々たるもので、カメムシの食害によってバラが弱ったり枯れたりすることはありません。バラに居着く例もないようです。
○ガーデン全体では注意が必要
しかし、バラ以外の植物も育てている場合は注意が必要です。
例えば庭に柿があるとすると、その柿を目当てにキマダラカメムシがやってきて、たまにバラを吸うこともあるかもしれません。
また、キマダラカメムシは柿の樹液だけでなく果実も吸うので、柿の実を楽しみにしていた場合は柿への被害はバラとは比べ物にならないほど大きいということになります。
さらに例えば、宿根草と合わせて庭作りをしている場合、グラス類があるならばイネ科を好むカメムシが集まるでしょうし、ペチュニアがあればナス科を好むものが、と植物種数が増えれば集まる虫の種類も増えます。
バラにいた大きなカメムシはキマダラカメムシという外来のカメムシでした。
バラにはたまたまいただけで、悪さをすることはないようです。
これから本格的に冬に入ると、カメムシは冬眠するため見かける機会は減りますが、暖かい日があると一時的に活動して出てくることがあります。
その時はあまり刺激しないようにやさしく、いても問題のない場所に移動してあげてください。
ちなみに、刺激したりいじめたりすると、危険を察知したカメムシがくさい臭いを出すのでご注意下さい。