バラの病害虫と対策について、篠宮バラ園、園主の長年の経験からお伝えします。
チュウレンジバチによる害というのはどれも特徴的です。
チュウレンジバチによる被害で一番甚大なのは葉の食害でしょう。
イモムシの大群が瞬く間に葉を食い荒らしていく姿は悪夢のようです。
また、もう一つ心配になる被害が成虫による産卵です。
緑色の若い枝に、縦に切れ目が入っている、またはそれが割けそうになっていたら、それはチュウレンジバチの産卵痕かもしれません。
チュウレンジバチのメス成虫は、枝に縦の切り込みを入れながらその中に産卵します。
この傷自体がバラの生育に大きな影響を及ぼすことはありません。しかし、その傷口から菌やウイルス等が侵入し病害が発生する可能性は否定できません。
また、卵が孵化するとその切れ目が開くので、枝に大きな傷ができてしまいバラ株の美観を損ねてしまいます。
さらに、中に卵がある状態でそのままにしておけば1週間程度でおびただしい数の幼虫が孵化し出てきて、その幼虫たちが葉を食い荒らすことになります。
○幼虫の場合
チュウレンジバチの幼虫は、孵化して間もないうちは集団で生活します。一枚の葉に群がることもよくあります。
一か所に集まっている場合は、集まっている葉ごと取り除きましょう。
小さいうちは集団でいる幼虫は大きくなると次第に分散していきます。
分散してしまっている場合は1頭ずつ取り除くか、一般的な殺虫剤やベニカR乳剤などを散布してください。
※関連ブログ:スタッフが効果を実感している薬剤 ベニカR乳剤 尺取虫、チュウレンジバチ
○成虫の場合
チュウレンジバチの成虫はフワフワとゆっくり飛びます。また、産卵のために枝に止まるとじっとしていることが多いので、飛んでいても止まっていても捕まえるのは簡単です。
刺さないので手でつまんで捕まえることもできます。
しかし、飛んでくる1頭のチュウレンジバチは自然界に存在するたくさんのチュウレンジバチたちの中の一つにすぎません。1頭捕殺したところで他のチュウレンジバチがやってくることでしょう。
捕殺だけでは埒が明かないので、薬剤散布を基本にしつつ、バラにチュウレンジバチが来ているのを見かけた場合は捕まえるか追い払うのが良いでしょう。
○産卵痕の場合
まだ卵が孵化していない場合、つまようじ等の細長い針を切れ目に挿し入れ、中の卵を潰してしまいましょう。潰す時は中の卵は2列になっていることを意識して潰しましょう。枝の裂傷は残りますが、幼虫が孵化してくることはありません。
卵を潰した後は1週間程度観察し、切れ目が開いていないか確認してください。もし開いていた場合は潰せていなかった卵が孵っているかもしれません。
チュウレンジバチは幼虫成虫ともに薬剤が有効です。特別効きにくかったり耐性が強かったりすることはありません。
薬剤散布することで、成虫による産卵と幼虫による葉の食害を防ぎます。
また、殺虫剤ですのでチュウレンジバチに直接薬剤がかかれば殺虫できるでしょう。
一般的な殺虫剤をはじめ、オルトラン、マラソン、スミチオン、アドマイヤー等を使用することで、他の害虫も合わせて予防できます。
チュウレンジバチとは、ハチ目ミフシハバチ科に分類されるハバチの仲間です。
ハバチというのは、漢字では葉蜂と書き、幼虫時代に葉を食べる蜂のことです。
チュウレンジは漢字で「鐫花娘子」と書き、花の茎に切り込みを入れて産卵する生態を表しています。
書籍・他Webサイト等では「チュウレンジ“ハ”バチ」と表記していることが多いですが、チュウレンジバチとチュウレンジハバチは同じものです。
(和名表記というものは、同じ種を指しているのに表記揺れや別名があることが多いのです。困ったものです……)
バラにやってくるチュウレンジバチの仲間は3種ほど(チュウレンジバチ・ニホンチュウレンジ・アカスジチュウレンジ)います。
どれも成虫幼虫ともに見た目・生態はよく似ていて、バラへの加害方法も同じです。
成虫は体長8㎜程度の小さくて黒っぽいハチです。お腹がオレンジ色でよく目立つのが特徴です。
毒は無く刺さないので、触っても危険はありません。
幼虫は警戒する時に、しゃちほこのようにお尻を上げる特徴的なポーズを取ります。
チュウレンジバチは薬剤耐性が低いので、他の病害虫防除の薬剤散布で予防することができます。
しっかりと薬剤散布をしつつ、日々バラを観察しながら産卵痕や成虫の来訪が無いかを確認することでチュウレンジバチからバラを守っていきましょう!
バラに付くテッポウ虫はカミキリ虫、特にゴマダラカミキリの幼虫を指します。
今まで順調だった株が、何故かこの頃元気がない……
ふと株元を見てみたら、木屑?おが屑?のようなものがある……
もしかしたら木の中にテッポウムシ・カミキリムシの幼虫がいるかもしれません!
カミキリムシの幼虫を放っておくと、木が弱くなって折れてしまったり、枯死してしまったりします。
テッポウムシと物騒な名前で呼ばれていますが、そもそもテッポウムシとは何なのでしょうか?
テッポウムシとはカミキリムシの幼虫の俗称です。
主に害虫とされるカミキリの幼虫を指しています。
バラのテッポウムシというと『ゴマダラカミキリ』という種類のカミキリの幼虫ということになります。
バラを食害するカミキリムシはゴマダラカミキリ以外にも数種いますが、どれも成虫で2㎝以下の小型で、食べるのは成虫幼虫ともに枝だけで幹に影響はなく、枯れるほどの被害は出しません。
テッポウムシの由来は、樹の幹に開ける穴が鉄砲を撃って開けたような丸い穴であることから来ています。
○確認方法
まずは株元や根際をきれいに片づけましょう。
そして幼虫が侵入した穴を探します。
もし木屑のようなものがでているのであればその近くを、無ければ根際から株元の幹に穴を探します。
穴の位置は親が産卵した位置なのですが、腰の高さより上に産卵することは滅多にありません。
しかし、時には浅い根に穴がある場合もあるので、下はじゅうぶんに確認しましょう。上よりも下を重点的に探しましょう。
穴の大きさは2㎜前後、大きくても数㎜程度の小さな穴です。
○被害
幼虫は株元から侵入して木の中を食べ進めます。この時、木くずのようなものが株元に出てきますが、これは「フラス」と呼ばれるもので、木屑と幼虫の糞が混ざったものです。
木の中身を食べてしまうので、バラにとっては致命的な害になります。
若い株よりも数年栽培している古株で被害が出やすく、気づかずにいると枯れてしまいます。
○対処方法
かつて明治の頃、果樹農家では「注射でころしましょう鉄砲虫」と唄っていたそうですが、今もそれは変わりません。
大前提として、幼虫が侵入した穴を見つける必要があります。
その穴に殺虫剤を注入するというのが基本です。
どうしても穴が見つからなかった場合、細いドリルで木屑のようなものの近くに穴を開ける方法もありますが、自ら木を傷つけることになりますので、行う際は自己責任でお願いします。
殺虫剤は一般的なもので構いません
希釈用の殺虫剤でしたら、少し濃いめに希釈して、スポイト等で穴に注入してください。
薬剤は使いたくないという場合では、針金を穴に差し込み、中にいる幼虫を刺し殺すという方法もありますが、不確実なのであまりオススメはしません。
カミキリ駆除に特化している製品もあります :園芸用キンチョールE
園芸用キンチョールEには細長い専用ノズルが付属していて、カミキリの幼虫が侵入した小さな穴に差し込んで薬剤を注入することができます。
もちろん通常の噴射ノズルで通常の殺虫剤としても使えます。即効性があるのでとても便利です。
園主も愛用していまして、こちらの動画で古株のノイバラに使用しているとお話しています。
また、テッポウムシ専用の木の穴を塞ぐ密封剤もあります。
テッポーダン
多くのテッポウムシ対処方法では殺虫剤を注入した後に穴を塞げと書いていますが、なぜ穴を塞ぐ必要があるのでしょうか。
穴を塞いでおかないと、薬剤から逃れようとする幼虫が穴から這い出てくる場合があります。
また、薬が効いて中で幼虫が死んだとしても、その開いている穴からアリや菌が侵入し腐朽を進めてしまうという二次被害を起こす可能性もあります。
ですが、園主曰く穴は塞がなくても構わないとのことです。
幼虫のやわらかい体に殺虫剤が少しでも付着すれば、遅かれ早かれ薬が効いて死にます。
また穴からの腐朽に関しても、株がちゃんと元気であれば本来の抵抗・免疫で跳ねのけることができます。
好みの問題でもあるので、気になる方は塞いでも構いませんが塞がなくても結構です。
卵を産みにやってくる成虫に対しては、基本的に捕殺するしかありません。
通常の噴霧する殺虫剤やオルトランのようなものでも多少の効果はありますが、効果絶大とまではいかないのです。
さいわいにも成虫のいる時期は夏の間だけですので、春先や秋には成虫の来訪を気にする必要はありません。
成虫をどうにかするよりも、産み付けられた卵や木の中に侵入した幼虫にいち早く気付き対処することが大切です。
カミキリムシの仲間は日本国内だけで約800種が知られています。
その多くは枯れ木や倒木、伐採木などを食べる種類で、生木を食べるカミキリは少数派です。
ですが、バラをよく加害するゴマダラカミキリはその少数派である生木を利用するカミキリです。
また、多くのカミキリは特定の樹種しか食べないものが多いなか、ゴマダラカミキリの幼虫は非常に幅広い種類の生木を食べています。
バラといった花卉だけでなく、ミカン等の柑橘類やリンゴ、ナシ、クワ、イチジクといった果樹、ヤナギやシラカバ、プラタナスといった街路樹に利用される樹木もゴマダラカミキリの食樹となります。
また、樹木だけでなく草本であるイタドリでも発生することがあります。
ゴマダラカミキリはとても多くの種類の植物を利用しています。
ですので、山でも里でも、市街地や都会でも、もっともよく見かけるカミキリと言えるでしょう。
手で掴むとキィキィと鳴きます。発声しているわけではなく、胸と翅の根元をこすり合わせて音を出しています。
夏になると、成虫が木から出てきます。成虫の出現は6~9月です。
交尾したメスは目当ての木の根際や株元に産卵しにやってきます。
この時、ただ樹皮の上に産卵するのではなく、少し傷をつけて内側に卵を産みます。こうすることで孵化したばかりの幼虫が硬い樹皮に阻まれることなく、柔らかい材部分へ潜ることができるのです。
幼虫は孵化すると親のつけてくれた傷から樹に入っていきます。
生まれたての小さいうちは外側の辺材部を食べ、大きくなってくると内側の心材部を食べるようになります。
※木材の辺材部分・心材部分について
丸太や切り株で木の断面を見ると、中心のほうは色が濃く、外側は色が薄くなっていて、色の差はグラデーションにはならずにハッキリとした境界があります。
色が薄い外側の部分が辺材部分です。辺材部は生きた細胞でできていて、根から吸い上げた水や養分を上に運ぶのはこの部分です。
色が濃い内側の部分は心材部分です。心材部は死んだ細胞でできています。この死んだ細胞はかつて辺材部だったものです。死んだ細胞といえど、木を支える柱・骨としての役割があります。
辺材部より外側には樹皮があります。
幼虫は辺材部分から食べ進めるので、樹が栄養や水分を吸い上げる力や量が減ってしまいます。
さらに幼虫が大きくなり心材部分まで食べてしまうと、木の中身が空っぽになってしまい枯れたり折れたりする原因になってしまいます。
幼虫は基本的に孵化から2年近くかけて生木の中を食べて大きく育ちます。
そして春までに蛹になり、羽化し、夏になるのを木の中で待ち、時期が来ると成虫として外に出ていきます。
木の中を食べ進めるカミキリの幼虫にも天敵はいます。
カミキリの幼虫が木の中を食べ始めると、木が物質を放出してカミキリの天敵である寄生蜂を呼び寄せます。
寄生蜂は長い産卵管を持っているので木の中にいる幼虫まで管の先を届かせることができて、産卵します。カミキリ幼虫の体に産み付けられた寄生蜂の卵が孵ると、カミキリの幼虫は食べられてしまいます。
「家で育てているバラが急に元気がなくなった」「葉が黄変してしまった」というお問い合わせをお客様からよくいただきます。
バラの元気がなくなったり葉が黄変する原因は、そのバラの置かれている環境や管理方法などによって変わりますが、それでも複数考えられます。時にはいくつもの原因が重なっている場合もあります。
その複数ある原因の中のひとつに、「コガネムシ類の幼虫による根の食害」があります。
植物にとって根は心臓のようなものですので、その根が害されているのを放っておくとあっという間に枯れてしまうかもしれません。
コガネムシ類はバラに対して、幼虫と成虫で別の被害を与えます。それぞれ見ていきましょう。
○幼虫の場合
コガネムシ類の幼虫は、バラの根を食べ、株を弱らせてしまいます。
土の中で卵から生まれた幼虫は植物の根を食べて成長します。成長のための食事ですので、食べる量が非常に多く、他に食べるもの、例えば周りに他の木や株が無い場合は木が枯れてしまうほどの被害が出てしまいます。特に鉢植えで顕著です。
コガネムシ類の幼虫は土の中にいるため、外から眺めるだけではいるかどうかわかりません。幼虫による根の食害があると、次のような症状があらわれます。
・バラ株の元気がなくなる
・葉がたくさん黄色になる
・水やりをしても水がはけにくい
・苗を揺らすとグラグラする 等
○成虫の場合
コガネムシ類の成虫は葉を食べるものが多く、バラに対しては葉や花弁を食べます。
多少葉が食べられる分にはバラへの影響は少ないですが、コガネムシ類の成虫はかなりの量の葉を食べるため、あっという間に葉を食べ尽くしてしまう場合もあります。
また、コガネムシ類成虫はよく飛びます。遠くから飛んでくるため、バラに来ている虫を駆除しても被害が完全になくなるわけではありません。
コガネムシ類は先述のとおり成虫と幼虫で害が違いますので、防除もそれぞれ別で行う必要があります。
成虫は遠くから飛んできて葉を食べるため、予防するのはとても難しいです。予防できないと考えた方が良いでしょう。
ずっと居着いて葉を食べ尽くしてしまいそうでしたら、取り除いて遠くに放るか、一般的な殺虫剤をご使用ください。
幼虫は土の中にいます。
鉢植えのバラで、根が食害されている疑いがある場合、苗を鉢から抜き取り、幼虫がいないか観察してみてください。この時、根を傷つけないよう、土を崩さないように気をつけましょう。幼虫は鉢の下のほうにいることが多いです。見つけた場合は取り除きましょう。
鉢に戻した後、もしくは見つからなかった場合や地植えの場合は、ダイアジノン粒剤やオルトラン粒剤といったコガネムシ類幼虫に効く薬を土に散布しましょう。土の中にもしコガネムシ類の卵があっても、薬剤を撒いておくことで孵化した途端に薬が効きます。
鉢を土の上に置いている場合、コガネムシ類幼虫は鉢の下から侵入してきます。これを防ぐために、あらかじめ鉢底ネットを使用し下から来る幼虫を通さないことが予防として有効です。
つまり、幼虫対策は薬剤と鉢底ネットが有効ということです。
バラを害するコガネムシ類は、バラしか食べられないわけではありません。それは幼虫も成虫も同じです。
コガネムシ類の多くは広葉樹であれば何でも食べます。種類によっては針葉樹も食べるものもいます。多少の好き嫌いはありますが、数多くある植物の中で、たまたまバラを食べているにすぎないのです。
また、バラが園芸植物であることもコガネムシ類がバラに集まる理由のひとつでしょう。品種改良を繰り返した植物は、植物本来の自衛能力が弱まってしまうことがあり、それによって野生の植物よりも虫にとって食べやすくなってしまい、虫が集まるのです。また、お庭という人工的な空間では害虫の天敵が少なく、害が出やすいというのもあります。
バラにはさまざまなコガネムシ類が集いますが、バラにやってくるコガネムシ類の全てがバラに害を与えるわけではありません。いるだけで害だと言われてしまえばそれまでですが、その中にはただ花粉や蜜を食べているだけ、もしくはただ葉に乗って休んでいるだけのコガネムシ類もいるのです。日本にはコガネムシの仲間が約360種もいると言われていますので、バラに対してどうであるかも多様性があるのです。
バラでよく見られるコガネムシ類にはどんなものがいるのでしょうか。ご紹介します。
○アオドウガネ
大きさ1.5~2.5㎝ 成虫時期5~10月
おそらく、関東以南の多くの人にとって最も目にする機会の多いコガネムシの仲間です。また、「コガネムシ」と呼ばれているもののほとんどがこのアオドウガネである可能性が高いです。
アオドウガネは丸っこく可愛らしい見た目に反して、バラにとっては成虫・幼虫ともに大きな害を及ぼします。また、とても数が多く非常に厄介な害虫です。
幼虫は、カブトムシの幼虫と似た姿をしていますが、カブトムシよりもふた回りほど小さく足が長いのが特徴です。
成虫は横から見ると鮮やかな緑色、上から見ると渋い緑色でと角度で色が変わります。形は丸っこく、おしりやからだに毛が生えてふさふさです。夜行性で街灯などの灯りによく集まります。
○ナガチャコガネ
大きさ1.0~1.4㎝ 成虫時期6~8月
薄皮のついたピーナッツのような色・形・大きさのコガネムシです。黄褐色で表面はツヤツヤしています。
ナガチャコガネは、幼虫による根の食害がとても多いですが、成虫はあまり問題になりません。しかし、幼虫は小さく数が多いため、アオドウガネに次いで厄介な害虫といえるでしょう。
○ビロウドコガネ
大きさ0.7~1.0㎝ 成虫時期4~10月
黒大豆のような黒くて丸いコガネムシの仲間です。名前のとおりベルベット生地のようなマットな光沢があります。近い仲間で少し細長いものや茶色いものもいます。
成虫は葉や花弁を、幼虫は根を食べますが、アオドウガネやナガチャコガネほど数は多くなく、ビロウドコガネだけで甚大な被害が出ることはないでしょう。
○マメコガネ・セマダラコガネ
○ハナムグリの仲間
ハナムグリの仲間もよくコガネムシとひとまとめにされがちですが、ハナムグリは花粉や花の蜜を食べているだけなので、バラに特別大きな危害を加えることはありません。ハナムグリという名は「花潜り」から来ています。葉を食べるコガネムシ類の口には葉をちぎるための鋭いあごがありますが、ハナムグリの口はブラシ状であるため、かたい葉を食べることはできません。
しかし、固いからだでやわらかい花の上に乗るため、花弁を傷つけてしまうことがあります。また、ちゃっかり花弁を食べていることもあります。
4月上旬~中旬、新芽がほどよく伸びてそろそろ蕾が付いてくるかな?という頃にバラゾウムシはやってきます。
バラゾウムシが狙うのは、新芽や蕾などの若くて柔らかいところです。
バラゾウムシは新芽や蕾に産卵すると首の部分を傷付け、折ってしまいます。また、産卵していなくても、バラの至る所を傷付けることもあります。
傷付けられた新芽はチリチリに枯れてしまいます。
枯れてしまいますので、その新芽が伸びることも、蕾が開くこともありません。
また、株の勢いが控えめで、伸びてくる新芽や蕾が少ない場合、新芽が出る度にバラゾウムシにやられてしまい、一度も花を見ることなくシーズンを終えてしまう場合もあるでしょう。
○薬剤散布
4月中旬より週に1,2回、殺虫剤を散布することをオススメします。
この殺虫剤散布は、バラに止まっているバラゾウムシに直接吹きかけることが目的です。
バラゾウムシは3mm程度と小さく、ひとつひとつ見つけて捕まえるのは苦労するでしょう。
ですので、定期的に薬剤散布することでなるべく被害を少なくしていきます。
薬剤散布する時は、虫のいるところだけでなく、上からも下からも全面に散布しましょう。
オルトラン粒剤のような、粒剤を土に撒く浸透移行性の薬剤は、植物体が虫にかじられることで効果を発揮するため、傷付けられなくする効果はあまり期待できません。
特に有効な薬剤:スミチオン、マラソン、ベニカR乳剤
おすすめの場合:バラの株数が多い、虫を見たり見分けたりしたくない、大雑把に済ませたい
薬剤散布については噴霧器のいろいろと薬剤散布 初心者さんへプロが教える消毒の仕方でより詳しく解説しております。
○捕獲
捕獲する場合、叩いて落とす方法がもっとも簡単かつ効率的です。
方法は簡単、バラの枝を叩いて揺らすだけです。
ですが、ただ揺らして落とすだけで地面に放っておいては、すぐにバラゾウムシはバラに戻ってしまいます。
ちゃんと捕獲するために、叩く前にあらかじめバラの真下に布やビニールシートを敷いておくか、大きな株でしたら開いた傘を下に向けて、叩く枝の下に差し込む等して、落ちる虫をキャッチできるようにしておきましょう。
持ち上げられる鉢植えでしたら、ビニールシート等の上で鉢を傾けて枝を叩くこともできますね。
この方法は「ビーティング法」といって、昆虫採集でよく使われる方法でもあります。
叩き方には少しコツがあります。
ゆさゆさと揺らすのではなく、バンバンと衝撃を与えることを意識して叩くのです。ゆさゆさ揺さぶってしまうと、そよ風で枝葉が揺れているのと変わらず、虫はしがみついたままです。
ですので、手よりも棒で叩くと衝撃を与えやすいですが、強く叩きすぎて枝を折ったり株を傷付けたりしないようにだけは要注意です!
また、揺らし方を失敗すると飛んで逃げられることもあります。
しかし飛んで逃げられても、そのバラからは去るので良いとも考えられます。物事は考え方次第ですね。
バラゾウムシを含む一部の昆虫たちは、突然の衝撃を感じるといわゆる“死んだふり”をします。
バラゾウムシは体長3mmほどの小さな甲虫です。
体は固く、象の鼻のように長い口吻(口)を持っています。
4~9月頃に出現します。
バラゾウムシと呼ばれているものは基本的にクロケシツブチョッキリというゾウムシの仲間です。
(多くのWebサイトでは、バラゾウムシ=クロケシツブチョッキリと解説していますが、似たような見た目で同じ環境に生息し、同じようにバラを害する違う種類のチョッキリもいるのでそれらの種もまとめてバラゾウムシと総称している可能性があります。)
バラゾウムシのメス成虫は新芽や蕾に産卵すると、その根元を象の鼻のように長い口吻で齧り、傷付けて折ってしまいます。
折れた新芽は枯れてしまいますが、その中で卵が孵り、生まれた幼虫はその枯れた新芽や蕾を食べて成長します。つまり幼虫は生の葉は食べないのです。
折れて枯れた新芽はそのうち地面に落ちます。枯れた新芽を食べて成長しきった幼虫は、土の中に潜り蛹になります。そして蛹から成虫に羽化したバラゾウムシは土から出ると空へ飛んでいくのです。
バラゾウムシと呼ばれますが、バラだけでなく、ノイバラやサルスベリなどもよく利用しています。
ゾウムシの仲間は非常に多く、日本国内だけで1200種以上が確認されています。
種数が多いということは、多様性が高いためありとあらゆる様々な生き方をしているグループであることを意味しています。
ゾウムシの仲間の中でもさらにグループがあり、バラゾウムシがいるのはチョッキリゾウムシと呼ばれるグループで、このグループは面白い生態をしているのです。
チョッキリゾウムシの仲間は、それぞれが対象とする植物の先端寄りの部分(実・ドングリ・新芽・蕾・若葉等)に産卵をして、産卵した部分より少し根元の方を傷付け、折ったり落としたりします。中には、葉を何枚か合わせて作るゆりかごに産卵する器用な種もいます。
また、もっと器用に葉を巻いて卵を産み付けてから地面に落とすオトシブミという仲間もチョッキリゾウムシと非常に近い仲間です。
雑木林で暮らすものがほとんどですが、たまたま園芸植物や果樹を対象としているチョッキリたちが害虫として人間を困らせているのです。チョッキリに限ったことではなく、害虫全般に言えることですね。
ここ数年で、お客様からのバラの無農薬栽培についてのお問い合わせを多数いただくようになりました。
あらためて、栽培のコツと、私の考えをお伝えいたします。
結論としましては、努力なしに無農薬栽培は成功しません。ですが、成功した時の喜びはひとしおです。ぜひ挑戦してみてください。
一般に、バラは病害虫を受けやすいため栽培が難しいといわれていますが、それは大きな誤解です。
たしかに病害はありますが、害虫に関しては他の植物より特別に被害を受けやすいわけではありません。
被害の中でも最も問題になるのは黒点病です。この病気にかかると瞬く間に葉を落とし、光合成が出来ず、栄養成長が悪くなり株の熟生が劣ります。
バラは同じ品種であっても環境の良し悪しによって被害の大きさが変わります。バラを受け入れる前に、場所をよく確認しましょう。日当たりと風通しが良く、水はけの良い肥沃な場所に植え付けるのは、大切な病害虫対策になります。
病害虫はそれぞれ発生時期が限られていますから、発生時期になったらよく株を観察し早期発見に努めましょう。また、発見後は速やかな対処を心がけます。
言葉にするととても簡単な「良好な環境と適切な管理」と「早期発見と早期対処」ですが、この徹底が無農薬バラ栽培で最も重要な作業です。
ここでは、バラに特化してお話していきたいと思います。
「科学的に合成した農薬や化学肥料を使わないバラの育て方」など、現代では様々な情報が溢れています。
人に限らず生命には生老病死という避けては通れない現実があります。バラや人から見れば「病害」虫と言われる生き物にもその現実があり懸命に生きています。その命のせめぎあいの中から、バラがより美しく元気に咲くように、化学的な発見から薬が生み出され、人類に大きな貢献をしてきました。そうして、病害虫も農薬も、私たちが様々なバラを自分の手元で楽しむために、栽培の手助けをしてくれているのも事実です。
ただ、化学物質にアレルギーを持つ方もいらっしゃいますし、環境や人の体に悪影響があるものは避けたいものです。そのためにも「早期対処」が特に重要になってきます。
たしかに、農薬に頼らない方法もいろいろあります。
例えば、黒点病に対しては雨による土も跳ね返りが主な原因なので、そうならない工夫を事前にする。うどんこ病に対しては、胞子の拡散を抑えるのに牛乳などの粘液のあるものを散布する。(当園でもでんぷん質の「粘着くん」なるものを使用しています。)虫の対策として木酢液の使用などいろいろな民間療法もあります。
ただ、これらはあくまでも初期対応でしか効果が無いと思われます。手遅れになってからでは打つ手がありません。
そうならないために、常日頃からバラの生育に気配りし、その時々の状況を把握して早い時期に必要な対処をする。そのことが減農薬になり、しいては無農薬につながることになります。
無農薬栽培はバラへの細やかな気配りが一番です。
努力なしには、無農薬栽培は成功しません。
この投稿をInstagramで見る#ケルナーカーニバル で、蜂が一生懸命蜜を集めていました♪ #蜂 #bee #青バラ #kolnerkarnival #ロザリアン #東久留米市 #ひばりが丘 #篠宮バラ園 #19年春苗販売中 #rose #生産農家直送 #instarose #blooming_petals #flowerphotography #flowerlovers #baraiegram #rosegarden #great_myflower #rosestagram #roselove #バラ #バラ好きな人と繋がりたい #バラのある暮らし #はなまっぷ薔薇 #バラの庭 #緑のある暮らし #農家
バラに付く虫は沢山いますが、ここで取り上げる害虫はタバコガといいます。
とくに、秋の開花時期に多く発性し、大切な蕾を食害します。
タバコガ類は鱗翅目(りんしもく)ヤガ科の蛾の仲間です。ヤガ科は蛾の中でも大きな科ですが、その中にはヨトウガの仲間も含まれています。
タバコガ類の中で特によく見られるのはオオタバコガとタバコガです。特にオオタバコガはタバコガよりも幅広い作物を食します。バラにやってくるものの多くがオオタバコガです。
タバコガ類は蛾ですが、成虫・幼虫ともに昼行性です。産卵は5~11月の間に行われ、その中でも8~9月が多いです。そのため、その卵が孵化して幼虫成長中の9~10月により蕾に被害が出るのです。
1990年代から多く発生するようになり、西日本を中心にトマトやイチゴ、キャベツ等の果菜類や、バラを含むキキョウやカーネーションといった花卉類に対して大きな農業被害をもたらしています。果菜類では果実に、葉物野菜では巻いている葉に、花卉類では蕾に、それぞれ幼虫が潜り込み食害します。
1匹の幼虫が、いくつもの蕾や実を食べながら渡り歩くのが特徴です。そのため、幼虫の数は少なくてもそのわりに多くの被害が出てしまいます。
また、タバコガの幼虫は食べながら内部に潜り込みます。ですので、鳥や肉食昆虫などの捕食者から狙われにくいので天敵は少なく、表にいないため薬剤が効きづらかったり発見が遅れたりします。
一度タバコガ類の幼虫に潜り込まれてしまったバラの蕾は穴が開いてしまうため、うまく開かなかったり、開いても花弁が穴だらけで見栄えのしない花になってしまいます。
タバコガの駆除に最も有効なのは「捕殺」です。捕殺とは、見つけて捕まえることです。
日頃からバラをよく観察しましょう。地道ですが、それが最も有効な手段です。
葉裏や花にタバコガ類幼虫を見つけたら必ず駆除し、蕾や芽に穴や糞を見つけたら、近くにいないかどうか、穴の開いた蕾をほぐしたりして探すことが大切です。
幸いにも毒はありませんので、毒針の心配をする必要はなく、素手で取り除くこともできます。
また、タバコガ類の卵は蕾や芽などのやわらかな先端に産みつけられるため、卵がついていないかどうかをよく観察して確認することも有効です。卵を見つけた場合、軽くこすれば取り除けます。見つけた卵にたいして、潰したり薬剤散布する必要はありません。
防虫ネットも有効ですが、野菜と違ってバラには不向きです。
薬剤散布も有効ではありますが、オオタバコガは薬剤抵抗力があり薬剤が効きにくいです。タバコガという名はタバコの葉を食べても死なない頑丈さから来ています。
薬剤に強いタバコガ類幼虫ですが、幼虫が若いうちは薬がまだ効きます。しかし成長するに従って薬剤が効きにくくなります。
若齢期は一般的な殺虫剤のマラソン、スミチオンも有効ですが、老齢期では、フェニックス、ディアナ、プレオフロアブルなどの専用薬をお勧めします。
バラの葉や枝に白いウロコのようなものが点々と付着していたり、幹の一部分がベッタリと白くなっていたりする場合、それはカイガラムシである可能性が高いでしょう。
1匹は小さな虫ですが、繁殖力が高いためあっという間に増殖し、バラ株の衰弱や酷い場合には枯死してしまう原因となります。また、カイガラムシの排泄物はスス病を引き起こす原因となりますので、カイガラムシ本体と相まって見映えが悪くなってしまいます。
カイガラムシの対処は基本的に除去です。薬剤は除去後に予防として使用します。
ブラシでこすって剥がしていくのがカイガラムシを取り除く一般的な方法ですが、範囲が広い場合や複数の株に発生している場合、一つ一つブラシでこするのは手間がかかるためオススメできません。ブラシが使えない場合は水圧で吹き飛ばす方法が有効です。
洗車等で使用する高圧洗浄機や、散水シャワーのストレートモードやジェットモードを用いて、カイガラムシの付着した部分に勢いよく噴射するだけできれいに除去することができます。
水圧は、手に当てて少し痛いくらいで構いません。しかし、あまりに水圧が強いと枝が折れたり幹を傷めたりする場合がありますのでご注意ください。詳しくはページ下部のYoutube動画をご覧ください。
ブラシでこする場合も、水圧で吹き飛ばす場合も、薄く樹皮が剥がれてしまうことがありますが、その程度であれば、バラへの負担は極めて少ないので気にする必要はありません。
剥がれてしまったカイガラムシですが、移動能力がないためバラに再び登ってくることはありません。そのまま剥がれ落ちた先で死んでしまいます。
カイガラムシの防除は冬の休眠期が適期です。なぜ冬が良いのでしょうか。
理由はいくつかありますが、その中でも大きな理由はバラが葉を落とすからです。
葉が落ちることによって枝や幹が見えやすくなり、カイガラムシを見つけやすくなります。また、水で流す時や薬剤散布時に葉に妨げられることもありません。さらに、元気な葉が多くついている時期に薬剤散布を行うと葉に薬害が出てしまうことがありますし勢いよく水をかけると葉が破けてしまうことがありますが、葉がなければ問題になりません。
カイガラムシの生態からも冬が適期であることがわかります。冬のカイガラムシは受精卵を抱えています。春の産卵前に除去することで産卵させない、つまり効果的にカイガラムシを防除することになります。
しかし、冬の間しか防除してはいけないわけではありません。大発生してしまった場合等の急を要する場合は、バラに大きな被害が出る前に、夏であっても季節問わず防除法をお試しください。
そもそもカイガラムシとは何なのでしょうか?何故防除が難しいとされるのでしょうか?