バラの病害虫と対策について、篠宮バラ園、園主の長年の経験からお伝えします。
バラに付くテッポウ虫はカミキリ虫、特にゴマダラカミキリの幼虫を指します。
幼虫
成虫
6月ごろからゴマダラカミキリが飛来しバラの枝を食害します。そして、雄雌が出会い交尾をしてバラの株元の樹皮にお尻を刺し卵を産み付けます。
やがて、1月もすると樹皮を食しながら成長し大きくなると小指ほどにもなり、バラを死に至らしめます。
対策についてですが、外から飛来してくるため、見張っているわけにもいかず産卵を回避することは困難です。
只、被害を最小限に抑える方法があります。
株元に被害が集中しますので、いつも株元を綺麗にしておきましょう。
もし、運悪くテッポウ虫が入り込んでいる株があれば一目で発見できます。それは、テッポウ虫が食した食べかすが、有るか、無いかを確認ることです。食べかすの木くずがあるようでしたら、木くずが出た穴(中にテッポウ虫がいます)を探し市販の殺虫剤を希釈しスポイトなどで穴に注入します。また、専用のスプレイ用品などもあります。
対策をしっかり行えば、大事に至ることはありません。
バラが老木になってくるとテッポウ虫が付くパーセントが多くなるようです。
バラに付く虫は沢山いますが、ここで取り上げる害虫はタバコガといいます。
とくに、秋の開花時期に多く発性し、大切な蕾を食害します。
タバコガ類は鱗翅目(りんしもく)という蛾の仲間で1990年代から多く発性し、とくに西日本の果菜類(トマトやピーマン、ナス)や花卉類を中心に大きな被害をもたらしています。
幼虫が1匹でどんどん食べ進むのが特徴です、内部に潜り込んで行き穴を開けます。
その為、発見が遅れたり、薬剤の効果も落ちます。
タバコガの駆除には薬剤散布が有効ですが、老齢幼虫になると薬剤の効果が極端に劣るので若齢幼虫のうちに薬剤散布をします。
防虫ネットも有効ですが、バラは野菜と違って不向きです。
大切な事は、普段から見回ってよく観察し、葉裏や花などにタバコガ類を発見したらすぐに駆除。新芽、蕾の付近に虫の糞(写真の茶色い点)を発見したら、新芽や蕾を分解して中にタバコガ類の虫がいないか確認しましょう。
若齢期は一般的な殺虫剤のマラソン、スミチオンも有効ですが、老齢期では、フェニックス、ディアナ、プレオフロアブルなどの専用薬をお勧めします。
上の写真は黒い点がありますので、初めての方は「これが黒点病?」と驚かれるかもしれませんが、薬害の症状です。
あくまでも薬剤散布による薬害の一つの症状で、葉焼け、ケロイドのことを指すします。例えるなら傷のようなものでしょう。
見た目は悪いですが、生育には対して問題ありませんので、ご安心ください。
バラをやるうえでは必ず出てくるものです。
品種により薬害が出やすい品種とそうでない品種もありますが、基本は薬の濃度を濃くしないようにしましょう。ラベルに書いてある推奨希釈濃度を守ってください。また、散布した後気温が高くなると薬害が出やすくなりますので、ご注意ください。
こちらは傷ではなくてうどん粉病と並ぶ厄介な病気の黒点病です。まん延するとバラの生育に関わってきますので、早期発見、薬剤散布が肝心です。
黒点病の対策については
こちらをご参照下さい。