バラの葉や枝に白いウロコのようなものが点々と付着していたり、幹の一部分がベッタリと白くなっていたりする場合、それはカイガラムシである可能性が高いでしょう。
1匹は小さな虫ですが、繁殖力が高いためあっという間に増殖し、バラ株の衰弱や酷い場合には枯死してしまう原因となります。また、カイガラムシの排泄物はスス病を引き起こす原因となりますので、カイガラムシ本体と相まって見映えが悪くなってしまいます。
カイガラムシの対処は基本的に除去です。薬剤は除去後に予防として使用します。
ブラシでこすって剥がしていくのがカイガラムシを取り除く一般的な方法ですが、範囲が広い場合や複数の株に発生している場合、一つ一つブラシでこするのは手間がかかるためオススメできません。ブラシが使えない場合は水圧で吹き飛ばす方法が有効です。
洗車等で使用する高圧洗浄機や、散水シャワーのストレートモードやジェットモードを用いて、カイガラムシの付着した部分に勢いよく噴射するだけできれいに除去することができます。
水圧は、手に当てて少し痛いくらいで構いません。しかし、あまりに水圧が強いと枝が折れたり幹を傷めたりする場合がありますのでご注意ください。詳しくはページ下部のYoutube動画をご覧ください。
ブラシでこする場合も、水圧で吹き飛ばす場合も、薄く樹皮が剥がれてしまうことがありますが、その程度であれば、バラへの負担は極めて少ないので気にする必要はありません。
剥がれてしまったカイガラムシですが、移動能力がないためバラに再び登ってくることはありません。そのまま剥がれ落ちた先で死んでしまいます。
カイガラムシの防除は冬の休眠期が適期です。なぜ冬が良いのでしょうか。
理由はいくつかありますが、その中でも大きな理由はバラが葉を落とすからです。
葉が落ちることによって枝や幹が見えやすくなり、カイガラムシを見つけやすくなります。また、水で流す時や薬剤散布時に葉に妨げられることもありません。さらに、元気な葉が多くついている時期に薬剤散布を行うと葉に薬害が出てしまうことがありますし勢いよく水をかけると葉が破けてしまうことがありますが、葉がなければ問題になりません。
カイガラムシの生態からも冬が適期であることがわかります。冬のカイガラムシは受精卵を抱えています。春の産卵前に除去することで産卵させない、つまり効果的にカイガラムシを防除することになります。
しかし、冬の間しか防除してはいけないわけではありません。大発生してしまった場合等の急を要する場合は、バラに大きな被害が出る前に、夏であっても季節問わず防除法をお試しください。
そもそもカイガラムシとは何なのでしょうか?何故防除が難しいとされるのでしょうか?