このカメムシはキマダラカメムシといいます。
体長は約2.2cm、500円玉弱くらいで、日本に生息している中では最大級のカメムシです。
当園の所在する東京郊外の住宅地では、2024年現在もっとも人の目につきやすいカメムシと言えます。
キマダラカメムシは元々日本にいたわけではなく、中国・台湾・東南アジア等が原産の外来種です。日本では現在東京・愛知・近畿、中国、九州、沖縄地方に分布しています。
長崎から九州に広がったのは昭和初期のことですが、東京や名古屋に現れたのは2010年頃からのことです。
キマダラカメムシはサクラ、ハナミズキ、クワ、エノキ、カキノキ等といった街路樹や庭木としてよく使われる広葉樹を幅広く利用します。そのため、都市部で増えて分布を広げているのです。
キマダラカメムシに限らず、カメムシの口はストロー状になっていて、その多くが木や草の汁を吸って食事としています。
冬は成虫で越冬します。
越冬のために樹皮の隙間や雨戸の隙間を探して入り込むため、時折家の中に侵入してしまい生活害虫となる場合もあります。
○重大な被害は起こさない
キマダラカメムシに限らず、カメムシがバラを好んで食害するということはありません。
バラ専門で食すものはいませんが、色々なものを幅広くなんでも食べるというカメムシが一部バラも食すことはあるかもしれません。
その点で言えば、キマダラカメムシもバラを吸う可能性は否定できません。
しかし、吸っていたとしても被害は微々たるもので、カメムシの食害によってバラが弱ったり枯れたりすることはありません。バラに居着く例もないようです。
○ガーデン全体では注意が必要
しかし、バラ以外の植物も育てている場合は注意が必要です。
例えば庭に柿があるとすると、その柿を目当てにキマダラカメムシがやってきて、たまにバラを吸うこともあるかもしれません。
また、キマダラカメムシは柿の樹液だけでなく果実も吸うので、柿の実を楽しみにしていた場合は柿への被害はバラとは比べ物にならないほど大きいということになります。
さらに例えば、宿根草と合わせて庭作りをしている場合、グラス類があるならばイネ科を好むカメムシが集まるでしょうし、ペチュニアがあればナス科を好むものが、と植物種数が増えれば集まる虫の種類も増えます。
バラにいた大きなカメムシはキマダラカメムシという外来のカメムシでした。
バラにはたまたまいただけで、悪さをすることはないようです。
これから本格的に冬に入ると、カメムシは冬眠するため見かける機会は減りますが、暖かい日があると一時的に活動して出てくることがあります。
その時はあまり刺激しないようにやさしく、いても問題のない場所に移動してあげてください。
ちなみに、刺激したりいじめたりすると、危険を察知したカメムシがくさい臭いを出すのでご注意下さい。