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せっかくの蕾や新芽が!バラゾウムシによる被害と予防・対策

3月に入り、日に日に暖かくなってきましたね。
当園ではついにバラの芽が吹き始めました。皆さまのバラはいかがでしょうか?

3月下旬、しばらく経ってたくさん新芽が伸び、そしてやっとついて膨らみだした蕾に胸躍らせ、開花の時を楽しみに待っていたら……
ある日、蕾や新芽がくたっと折れて萎れてしまった!

新芽や蕾がしおれてしまう原因はいくつかありますが、しおれた元の部分に傷があったら、それはバラゾウムシの仕業かもしれません。

今回はバラゾウムシについて、症状や予防・対策方法についてご紹介します。


バラゾウムシのよる被害


4月上旬~中旬、新芽がほどよく伸びてそろそろ蕾が付いてくるかな?という頃にバラゾウムシはやってきます。

バラゾウムシが狙うのは、新芽や蕾などの若くて柔らかいところです。
バラゾウムシは新芽や蕾に産卵すると首の部分を傷付け、折ってしまいます。また、産卵していなくても、バラの至る所を傷付けることもあります。

傷付けられた新芽はチリチリに枯れてしまいます。
枯れてしまいますので、その新芽が伸びることも、蕾が開くこともありません。

また、株の勢いが控えめで、伸びてくる新芽や蕾が少ない場合、新芽が出る度にバラゾウムシにやられてしまい、一度も花を見ることなくシーズンを終えてしまう場合もあるでしょう。

バラゾウムシの予防・対策・対処

○薬剤散布
4月中旬より週に1,2回、殺虫剤を散布することをオススメします。
この殺虫剤散布は、バラに止まっているバラゾウムシに直接吹きかけることが目的です。

バラゾウムシは3mm程度と小さく、ひとつひとつ見つけて捕まえるのは苦労するでしょう。
ですので、定期的に薬剤散布することでなるべく被害を少なくしていきます。
薬剤散布する時は、虫のいるところだけでなく、上からも下からも全面に散布しましょう。

オルトラン粒剤のような、粒剤を土に撒く浸透移行性の薬剤は、植物体が虫にかじられることで効果を発揮するため、傷付けられなくする効果はあまり期待できません。
特に有効な薬剤:スミチオンマラソンベニカR乳剤

おすすめの場合:バラの株数が多い、虫を見たり見分けたりしたくない、大雑把に済ませたい

薬剤散布については噴霧器のいろいろと薬剤散布 初心者さんへプロが教える消毒の仕方でより詳しく解説しております。


○捕獲
捕獲する場合、叩いて落とす方法がもっとも簡単かつ効率的です。
方法は簡単、バラの枝を叩いて揺らすだけです。
ですが、ただ揺らして落とすだけで地面に放っておいては、すぐにバラゾウムシはバラに戻ってしまいます。
ちゃんと捕獲するために、叩く前にあらかじめバラの真下に布やビニールシートを敷いておくか、大きな株でしたら開いた傘を下に向けて、叩く枝の下に差し込む等して、落ちる虫をキャッチできるようにしておきましょう。
持ち上げられる鉢植えでしたら、ビニールシート等の上で鉢を傾けて枝を叩くこともできますね。
この方法は「ビーティング法」といって、昆虫採集でよく使われる方法でもあります。

叩き方には少しコツがあります。
ゆさゆさと揺らすのではなく、バンバンと衝撃を与えることを意識して叩くのです。ゆさゆさ揺さぶってしまうと、そよ風で枝葉が揺れているのと変わらず、虫はしがみついたままです。
ですので、手よりも棒で叩くと衝撃を与えやすいですが、強く叩きすぎて枝を折ったり株を傷付けたりしないようにだけは要注意です!
また、揺らし方を失敗すると飛んで逃げられることもあります。
しかし飛んで逃げられても、そのバラからは去るので良いとも考えられます。物事は考え方次第ですね。

バラゾウムシを含む一部の昆虫たちは、突然の衝撃を感じるといわゆる“死んだふり”をします。

死んだふりの一例 シロコブゾウムシ


クワガタムシを採集する方法のひとつに「木を蹴ると落ちてくる」というのがあるのを知っている方もいるかもしれませんが、それと同じです。
実際には気絶しているだけですが、衝撃を感じると足を引っ込めて固まってしまうのです。気絶なので、しばらくしたら再び動き出します。
バラにやってくる害虫の中では、テッポウムシの親であるゴマダラカミキリも同じ性質を持っていますので、時期によっては一緒に捕獲できるでしょう。
また、アブラムシを食べてくれるテントウムシも同じ性質を持っていますので、もし落ちた虫を分けられるようならテントウムシは返してあげましょう。

おすすめ:本数はあまり多くない、株が大きい・よく茂っている、無農薬栽培、薬剤で皆殺しは避けたい

ナミテントウ アブラムシなら何でも食べてくれます

☆薬剤散布もビーティング法も、バラゾウムシが飛来しやすい天気の良い日に行うのがおすすめです。

バラゾウムシって何?


バラゾウムシは体長3mmほどの小さな甲虫です。
体は固く、象の鼻のように長い口吻(口)を持っています。
4~9月頃に出現します。

バラゾウムシと呼ばれているものは基本的にクロケシツブチョッキリというゾウムシの仲間です。
(多くのWebサイトでは、バラゾウムシ=クロケシツブチョッキリと解説していますが、似たような見た目で同じ環境に生息し、同じようにバラを害する違う種類のチョッキリもいるのでそれらの種もまとめてバラゾウムシと総称している可能性があります。)

バラゾウムシのメス成虫は新芽や蕾に産卵すると、その根元を象の鼻のように長い口吻で齧り、傷付けて折ってしまいます。
折れた新芽は枯れてしまいますが、その中で卵が孵り、生まれた幼虫はその枯れた新芽や蕾を食べて成長します。つまり幼虫は生の葉は食べないのです。
折れて枯れた新芽はそのうち地面に落ちます。枯れた新芽を食べて成長しきった幼虫は、土の中に潜り蛹になります。そして蛹から成虫に羽化したバラゾウムシは土から出ると空へ飛んでいくのです。

バラゾウムシと呼ばれますが、バラだけでなく、ノイバラやサルスベリなどもよく利用しています。


ゾウムシの仲間は非常に多く、日本国内だけで1200種以上が確認されています。
種数が多いということは、多様性が高いためありとあらゆる様々な生き方をしているグループであることを意味しています。
ゾウムシの仲間の中でもさらにグループがあり、バラゾウムシがいるのはチョッキリゾウムシと呼ばれるグループで、このグループは面白い生態をしているのです。
チョッキリゾウムシの仲間は、それぞれが対象とする植物の先端寄りの部分(実・ドングリ・新芽・蕾・若葉等)に産卵をして、産卵した部分より少し根元の方を傷付け、折ったり落としたりします。中には、葉を何枚か合わせて作るゆりかごに産卵する器用な種もいます。
また、もっと器用に葉を巻いて卵を産み付けてから地面に落とすオトシブミという仲間もチョッキリゾウムシと非常に近い仲間です。
雑木林で暮らすものがほとんどですが、たまたま園芸植物や果樹を対象としているチョッキリたちが害虫として人間を困らせているのです。チョッキリに限ったことではなく、害虫全般に言えることですね。




バラの病害虫と対策

この記事を書いた人

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篠宮バラ園で働く生産スタッフです。
皆様のもとへ元気で丈夫な苗がお届けできるよう今日も頑張ります♪

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