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バラが枯れる原因に?生産農家が教える「肥料の適量」と初心者が陥りがちな落とし穴

こんにちは、篠宮バラ園です。

「バラをきれいに咲かせたい!」「もっと元気に育てたい!」と思うと、ついたくさんあげたくなってしまうのが「肥料」ですよね。
しかし、よかれと思って熱心にお世話をした結果、逆にバラを傷めてしまう初心者のユーザー様がとても多いんです。

今回は、当園のYouTubeチャンネルで解説した「バラの肥料、適量の大切さ」について、化学肥料と有機肥料の違いや、やりすぎたときの症状などを分かりやすくまとめてお届けします。
園主とバラの肥料
バラ生産50年の経験をお話します




1「多すぎるとどうなる?」肥料のやりすぎが招く3つの障害

「肥料を全くあげなくても、バラがすぐに枯れることはない」と園主はいいます。顔色(葉の色)が少し悪くなるくらいで、致命傷にはなりません。
本当に怖いのは「あげなさすぎ」ではなく、実は「あげすぎ(過剰摂取)」なのです。必要以上の量を与えてしまうと、バラには以下のような障害が出てきます。

* 葉焼け・根焼け:土の中の肥料濃度が高くなりすぎると、デリケートな根が傷んでしまいます(※詳しい仕組みは次の章で解説します)。そのSOSサインとして、葉の周りがだんだん茶色く焼けたように変色してしまいます。

* 木ボケ(きぼけ):肥料に含まれる「窒素(チッソ)」は枝葉を伸ばす栄養素です。これが多すぎると、枝ばかりが異常にどんどん伸び、葉っぱが巨大化し、肝心の「花を咲かせるモード」に株が切り替わらなくなってしまいます。

* 病害虫に弱くなる:窒素過多で急激に伸びた枝葉は、組織がとても柔らかくなります。すると、虫たちにとって「柔らかくて食べやすい格好の的」になってしまい、虫が寄り付きやすくなります。


2根焼け(肥料焼け)が起きる仕組み:「燃える」のではなく「カラカラ」になる?

園主は動画の中で、強い化成肥料について「ナトリウム系統なのかな、塩分というか、傷口に触るとピリピリするような強い刺激がある」と表現しています。

「根焼け」という言葉を聞くと、まるで土の中で根っこが熱を持って燃えてしまうようなイメージがありますよね。でも、実はそうではないんです。正体は、根っこが「水分をギューッと吸い取られて、カラカラに乾いてしまう現象(浸透圧)」を指します。

植物の根っこは、土の中の水分を吸い上げて生きています。しかし、土に肥料をドバッとたくさん入れてしまうと、土の中の栄養成分がバラの根っこの中よりも、はるかに「濃い状態」になってしまいます。

自然界には「濃いものがあると、それを薄めようとして水分が引っ張られる」という不思議な性質があります。
土が濃くなりすぎると、この性質のせいで「根っこが水を吸う」のとは逆に、「根っこの中にある大切な水分が、濃い土のほうへとどんどん吸い出されてしまう」という逆転現象が起きてしまいます。

分かりやすいのが、ナメクジに塩をかけると縮んでしまう状態です。塩分という「濃いもの」に水分を奪われているのですが、これと全く同じことがバラの根っこで起きてしまうのです。

水分を限界まで奪われた根っこは、細胞が破壊されて死んでしまいます。
園芸で「根腐れ」というと水のやりすぎ(酸欠)をイメージしますが、このように肥料のやりすぎで根の細胞が死んでしまった場合も、最終的には死んだ根が土の中で黒く腐っていくため、同じ「根腐れ」の状態になってしまうのです。
※根腐れについて詳しい動画はこちら

根腐れ

根腐れした株 白い根がありません
根鉢
元気な株 白根が沢山あります

このように、植物の組織が壊れて茶色くボロボロになった姿が「まるで火で焼かれた跡」のように見えることから、園芸ではこれを「根焼け(肥料焼け)」と呼んでいます。
根っこがストローの役割を果たせるなくなるため、連動している上の葉っぱにも水や栄養が届かなくなり、最終的には葉っぱの周りまで茶色く焼けたようになって枯れてしまうのです。


3「化学(化成)肥料」と「有機肥料」の特徴と大きな違い

お店に行くと色々な肥料が並んでいますが、大きく分けると「化成肥料」と「有機肥料」の2つがあります。それぞれ性質が全く異なります。

* 化成肥料(化学肥料):鉱物などを化学的に製造したものです。成分(チッソ・リン酸・カリ)がしっかり数値化されており、パッと効く「速効性」が強みです。ただし、そのぶん濃度が高いため、量を間違えるとすぐに株を傷める難しさもあります。

* 有機肥料:油かすや牡蠣殻など、自然界にあるものを利用した肥料です。こちらは土の中で微生物によって発酵・分解されて初めて効果が出ます。効果が「穏やか」なので大失敗しにくいのがメリットです。

有機肥料

篠宮バラ園オリジナル有機肥料



4植え付け・植え替え時の大誤解!元肥は「基本的には入れません」

多くの園芸書には「植え付けや植え替えの時には、土に元肥(もとごえ)を混ぜましょう」と書いてありますよね。しかし、篠宮バラ園では元肥は基本的には入れません! これが一番失敗しない秘訣です。

市販されているバラ用の「培養土(倍土)」には、牛糞や腐葉土、ピートモスなどがバランスよく配合されており、すでに微量の栄養がきちんと含まれています。
お庭に新しく植え付ける苗や、鉢を大きくする植え替え直後のバラは、人間で言えば手術が終わったばかりのような状態。そこに強い化成肥料などを混ぜ込んでしまうと、新しい根がすぐに焼けてしまいます。

また、「穏やかな有機肥料なら土に混ぜても大丈夫では?」と思いがちですが、これも避けてください。
有機肥料は、土の中の微生物に分解されることで初めて栄養に変わるのですが、土の中でその分解がスタートすると、実はかなりの「熱」と「ガス」が発生します。 逃げ場のない土の中で熱がこもると、バラのデリケートな根っこがまるで「お湯で茹でられたような状態」になってしまい、呼吸ができずに弱ってしまうのです。

ここでちょっと補足です!
もちろん市販の肥料のなかには、商品によって「元肥として混ぜ込んで大丈夫ですよ」とパッケージにしっかり明記されているものもあります。そのため、使用する前には必ず製品の注意書きをよく読んで確認してください。もしパッケージに「元肥として使用OK」とはっきり書かれていないものに関しては、土には混ぜず、元肥としての使用は避けたほうがベターです。

まずは肥料を混ぜていない土に植え、バラの根がしっかり張って「栄養が欲しいよ!」と元気に伸びてきてから、後から土の上に肥料を足す「置き肥(追肥)」にするのが一番安全で確実な方法です。

IB肥料
有機肥料


5迷ったらこれ!初心者におすすめな「IB肥料」の使い方と頻度

「じゃあ、後からあげる肥料は何がいいの?」という初心者の方に園主が太鼓判を押すのが、当園の生産現場でも長年愛用している「IB肥料」です。
IB肥料

園主が愛用するIB肥料

IB肥料は化成肥料の仲間ですが、水やりをするたびに少しずつゆっくり溶け出す(緩効性)ように作られているため、非常にマイルドで使いやすく、手が荒れるような強い刺激もありません。

○あげる量と頻度の目安
当園で取り扱っているIB肥料や有機肥料の場合、鉢の大きさに合わせてスプーン単位で管理するのがおすすめです。

* 7〜8号鉢:小さじ1杯
* 10号鉢:小さじ2杯
* あげる頻度:1ヶ月〜2ヶ月に1回が目安

実は園主自身、地植えのバラには手づかみでワイルドにばら撒くほど大雑把(笑)。「きっちり何グラム!」と神経質になる必要はありません。
「今月は少し多めにあげたから、次は2ヶ月後にしよう」といった、大雑把な感覚で十分上手くいきます。


6まとめ:バラの気持ちを汲み取って、ちょっと少なめから始めよう!

バラ栽培で一番大切なのは、太陽、水、そして肥料のバランスです。これらはすべて「多すぎてもダメ、少なすぎてもダメ」という共通点があります。

「乾ききっていないのに、早く大きくなってほしいからと毎日水をあげる」
「まだ栄養を吸えない状態なのに、よかれと思って肥料をたくさんあげる」

これらは人間の都合であって、バラの気持ちには寄り添えていませんよね。
バラが「あぁ、水が乾いて喉が渇いた!お水が美味しい!」「しっかり根が張ったから、そろそろ栄養が欲しいな!」というタイミング(気持ち)を見極めて、少し足りないくらいの量からアプローチしていくこと。それができるようになると、バラ育てがどんどん楽しく、上手になっていきますよ。

少しずつ経験を重ねて、お庭のバラを美しく咲かせてみてくださいね。

応援しています!



▼YouTube本編はこちら 【初心者】バラの肥料、適量の大切さ 基本の話/多すぎると?/化成肥料と有機肥料/葉焼け/木ボケ/元肥/頻度は? バラ生産農家



ばら苗の管理方法

この記事を書いた人

篠宮バラ園 スタッフ

篠宮バラ園 スタッフ

篠宮バラ園webまわり担当。
園内に咲くバラの香りや美しさに日々感動しているベランダガーデナーです。
園主のバラへのあふれる愛を、お客様にどうお伝えするか、日々奮闘中!