デヴィッドオースチン社にはいくつもの確かな人気を持つバラがあります。
長年愛されてきた
ガートルードジェキル、黄バラの大輪
グラハムトーマス、日陰でも多花で丈夫な
スノーグース、育てやすさで知られる
レディオブシャーロット、まだまだありますが、2018年に発表されたエミリーブロンテは、まだそのよさが知れ渡っていないのではないでしょうか。
英国のオースチン社のサイトでは BEST FOR HEALTH(最も健康)、BEST FOR FRAGRANCE(最も香りが良い)とされており、バラ初心者さんへの贈り物にも最適です。
特徴
・繊細な花色と、爽やかな柑橘系のティー香が強く香ります。
・株はコンパクトな直立性で鉢植えに向き、地植えでも1m程度の大きさに抑えられま
す。
・樹勢が強く、繰り返しよく咲きます。すぐ大きな株になります。
・耐病性もに強く、特にうどんこ病になりにくいです。
・初心者の方でも育てやすいです。
花・葉・棘について
お花の第一印象は可憐。
丸い蕾は開きかけの時は赤みがあり、もう咲くというときはごく淡いピンクになっています。
カップからフラットに開き、整ったロゼット咲きに。白に近い淡いピンクの周辺から中心に向かってわずかずつ濃さを増していき、そして中心のボタンアイはアプリコットイエローへ。
それはのちにシックなアンティークブラウンにもなります。
7cmから9cmの中輪が房咲きになり、ひと枝が花嫁のブーケのように丸く房咲きになることも。
パッと目をひく色合いではありませんが、じっくりと色の変化を楽しむバラです。
気温が高いと色が薄くなる傾向があり、低いと深い色が楽しめます。春から晩秋まで、季節の変化での花色も楽しんでください。
丸形のややマットな照り葉。明るめの若い葉から、ミディアムグリーンに変化します。
トゲは根元には普通程度ありますが、すっと伸びる花枝にはほぼないか、かなり少ないので扱いやすいです。
少な目の棘
シュラブ樹形・仕立て方について
デヴィッド オースチン社のイングリッシュローズといえば多くがシュラブ。
シュラブといえば、2年生苗で育て始めたら、春の開花期に花を咲かせ、夏にはシュートを出してそのまま伸ばせばつるバラとして仕立てることもでき、冬に強剪定すれば、また
春には木立ちとして楽しむことができます。
シュラブにはラージシュラブとミディアムシュラブがあります。
ラージシュラブはつるバラとして壁面を覆うまで大きくすることもできますが、エミリーブロンテはミディアムシュラブの中でも小型で、鉢植えに向き、地植えでも1m程度の大
きさに抑えられます。ガーデニングなら大きなつるバラの手前や、花壇の中ほど、様々な草花との色合わせもしやすいです。
当園の駐車場のわきに植わっています
名前の由来
英文学史上にその名を深く刻んだエミリー ブロンテの生誕200周年を記念して、ブロンテ協会から依頼により、この名前がつきました。
エミリー ブロンテ(1818~1848)は、その生涯のほとんどを英北部ヨークシャーのハワースという小さな村の父親の牧師館で過ごしました。
娯楽のない生活の中で、エミリーを含む三姉妹と兄の楽しみは共に想像の国を舞台にお話を作ることだったといいます。姉シャーロットと妹アンも小説家になり、ブロンテ三姉妹
と言われています。
風の吹きすさぶ、どこまでも続く荒地(ムーア)。1日で天気は目まぐるしく変わり、春には一面のヒースの花で覆われます。
そのよく親しんだ場所を舞台に彼女は小説『嵐が丘』(Wuthering Heights)を書き上げました。
エミリー ブロンテの唯一の小説『嵐ヶ丘』は、嵐の夜に父が旅先から連れ帰った混血の孤児ヒースクリフと、一緒に育ったその館の娘キャサリンとの強い情念をめぐる、三世代を跨ぐ愛と復讐の物語です。
1847年に男性の偽名で発表されましたが、衝撃的な内容や小説の構成が非常に斬新で複雑だったこともあり、当初は評価が分かれました。翌年エミリーは結核で30歳の若さで亡く
なり、後に2版でシャーロットが本当の作者を明かしています。
生涯独身で家族以外ほとんど人付き合いのなかった反面、エミリーは自然と動物へ多くの愛を示していたそうです。
嵐ヶ丘のキャサリンとヒースクリフという激しいキャラクターを想像だけで作り上げたと言われていますが、エミリー ブロンテの内面にはどれだけ豊かな物語の泉が湧いていたこ
とでしょうか。
『嵐が丘』は、20世紀に入り英小説家サマーセットモームに世界10大文学に選ばれ、よく読まれ、映像化され、今では誰もが知る英文学の古典にとなりました。
《※農林水産省 品種登録出願中》