そもそも、なぜ冬場の休眠期以外に移植してはいけないのでしょうか。
バラにとって冬の休眠期以外は、枝や根を伸ばす生育期です。生育期には根から水や養分をたくさん吸い上げ、枝や葉を生長させていきます。その勢いの凄さは皆さんもお世話していて実感することが多いと思います。
そんな勢いのある時に根を傷つけてしまうと、吸い上げることができる水や養分の量が減ってしまいます。しかし枝葉の生長は突然止まることはできないので、しばらくは今までの勢いのまま続きます。すると水や栄養が不足してしまうため木が弱ってしまいます。それがそのまま枯死につながってしまうのです。
休眠期の場合、生長が非常に穏やかであるため必要な水分や養分が生育期より少ないのです。そのため根を傷つけても必要な水分や養分をまかなえるため、枯死することなく春の生育期を迎えることができます。
大前提として、生育期に掘り上げをする時点で、休眠期と比べると枯れてしまう可能性は非常に高いです。
真夏で気温の高い日には、真昼の酷暑下での掘り上げは避け、なるべく涼しい時に行ないましょう。
そして、なるべく根を傷つけないように掘り上げます。株元にいきなりスコップを刺しこむのは言語道断!
掘り上げ方についてはこちらの記事もご覧ください。
地植えにしてから2年以上経過した古い株は、大きく根を広げてしまっています。
水や養分を吸い上げる根としての役割を行っているのは根の先端の方だけで、太く硬くなっている部分は“管”としてしか機能していません。硬い表面からは水分や養分を吸収していないというわけです。
ですので、掘り上げるために根を短く切ってしまうということは根がほぼ全部なくなってしまうのと同義なのです。根がなくなるにも関わらず、地上部分は元気に成長しようとするため、すぐに水や栄養が足りなくなり枯れてしまいます。
きちんと管理しても、枯れてしまうか、新しい根が伸びて復活するかはいわば博打です。駄目になる前提のワンチャンスであると、心構えをしておきましょう。再び元気になった暁には株は若返ります。
地植えにしてからあまり時間が経っていない株ならば、あまり太い根が伸び広がっていないため古株よりも掘り上げるリスクは低いでしょう。しかし、それでもダメージは大きく、適切な養生が必要になります。
園主が持ち上げているこの株は7月に畑に植えた7号鉢の苗です。撮影したのは9月なので移植してから2ヶ月以上経っていますが、鉢の形がまだ残っています。しかし、周りからは細いひげ根がたくさん出てきています。
多かれ少なかれ根を切ってしまっているため、根に合わせて地上部(枝や葉)も小さく切り詰める必要があります。植物にとって地上部と地下部のバランスは生きる上でとても重要なのです。
古い株の場合、根の機能がかなり損なわれているため、かなり切り詰める必要があります。接ぎ目*から数センチでも組織(枝や芽)が残っていれば復活する可能性はあります。地上部が大きいと負担になるため、少し思いきって切り詰めましょう。
1年以内の株は、古い株のようにギリギリまで切り詰める必要はありません。あまり大きく枝が伸びてない場合は葉を落とすだけでも構いません。葉は植物にとって維持するのにたくさんのエネルギーが必要となる器官ですので、なるべく少なくしましょう。
(*接ぎ目について…芽接ぎ作業の様子、芽が伸びてきた様子)
左が1年以内の株、右が古い株です。
並べて見比べると、根の状態に合わせて切り詰める度合いが全然違うのがおわかりいただけると思います。
掘り上げて切り詰めた後、移植・仮植まで数日程度であれば、水を入れたバケツに入れておくことができます。根が乾かないように、しっかり首まで水に浸しておきましょう。
※この写真では少し水が少ないですがこの後首元まで水で満たしました。
数週間~数ヶ月空く場合には、鉢に仮植しましょう。
生育中だったのに枝も根も切られてしまった苗はいわば死にかけの状態です。
生きるか死ぬかの瀬戸際ですので、充分に療養させてあげる必要があります。
☆水
土や根が乾かないように水やりしましょう。通常時よりも少し多めで構いません。
新しい芽が出てきたら、普段の水やりに戻します。
☆肥料
肥料はストレスになるため、新しい芽が吹くまではあげてはいけません。
新しい芽が吹き安定してきてから肥料はあげましょう。
☆日光
直射日光は避けましょう。特に真夏の強い日差しの下には耐えられません。
上記の養生方法を行っても、持ちこたえられず枯れてしまう場合も大いにあります。
よほどの事情がない限り、掘り上げは冬の休眠期に行ないましょう!