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【11月のバラの管理】秋剪定(四季咲き)、秋の病気の考え方など

秋バラは、気温の上昇に伴って一斉に咲く春のバラとは異なり、ぽつりぽつりと一輪ずつ長く咲いてくれることが多いです。そのため、暖かい地域で育てている四季咲き品種で、環境が整い適切な手入れをすれば、12月まで花をつける株もあります。この季節はその深みをどうぞ楽しまれてください。
◀10月の管理はこちら
 
11月に咲いたクロードモネ



秋剪定(四季咲き)の考え


秋剪定は、冬の本剪定と異なり、「ここで切らなくてはいけない」というのはありません。
(*参考 冬剪定の動画…①鉢栽培 ②地植え ③つるバラ)

一年のスタートの春の開花に合わせた冬剪定は、2月頃に短めに行います。冬の剪定後、新芽が伸びて花が咲き、一般的には花が咲き終わったら伸びた枝の半分ぐらい(系統によって違いはあります)で切りますが、秋剪定には色々な考え方があると思います。

【花後の剪定をした場合】
秋剪定だから特別なことがあるわけでもありません。春の開花後の剪定と同様、伸びて咲いたら切る、伸びて咲いたら切る、その流れで行えば良いと思います。特別なテクニックとして秋剪定というのがあるわけではありません。

花後、伸びた枝の半分ぐらいの長さで剪定をすると、切った直ぐ下の一芽~二芽にだけに力が集まりますので、そこの芽が他の芽よりも優先して伸び花が咲きます(頂芽優勢)。限られた芽に力が集中して枝が伸び、比較的大きめな花がポンっと咲きます。花が咲き終わったらまた同様に剪定をしこれを繰り返していき、条件が整えば12月頃まで花が咲きます。一般的に四季咲き品種ではこのような剪定をします。
花数は限られますが、株が大きくなりすぎないので、樹形が整うのがメリットです。


【花後の剪定をしなかった場合】
仮に剪定をせずに放っておくと、枝の先端のエリアに力が集まりますのでそこにある複数の芽から新芽が伸びて花が咲きます。(枝にはいくつも芽があります。)この方法ですと一輪は小さいですが、花数が増えます。
複数の芽が伸びた場合

また、剪定をせずに放置しておくと、株全体がどんどん伸びて背が高くなります。ときどき、つるバラではないけれど、ひょろりと伸びたずいぶん背の高いバラを見かけることはありませんでしょうか?そのような背が高く荒れてしまったバラは、風が吹けばこすれて株が痛んだり、台風などの場合は折れてしまうこともあります。

鉢植えの場合は鉢の大きさとのバランスを見て剪定をしますし、露地植えの場合はその場所に合うバランスが大事です。広いスペースをとれるならば、軽く剪定して株自体を伸び伸びと大きくさせることもでき、大きくすればもちろん花数も増えます。ところが狭い所では、強くカットしないと枝と枝がくっついて日当たりが悪くなります。
そういうことを考慮すれば「どこで切らなくてはいけない」と言うのは無いと思います。 環境や好みに合った剪定を行えばいいのであって、こうしなくてはいけないと言うことについて、あまり気を使わなくていいと思います。

越冬前のハダニ

ハダニは、あたたかい時期は葉の裏側に付いて液を吸いますが、寒くなってくると葉は落ちますのでバラには被害がなくなります。そして寒くなると株元に移動し薄皮の中に入り込んで越冬します。そのため、この時期は葉に薬剤散布してもあまり意味がありません。
しかしこのままにしておくと、春の新芽が出る頃に、株元の薄皮などに隠れていたハダニが再び活動を始めます。枝をつたって登っていき、葉に害を与えます。
対策としては、株元の薄皮を剥いでみると赤い粒が沢山あるので、それをつぶしてしまえば大丈夫です。(株元の薄皮だけでなく、鉢のふちや、ラベルの裏側、株もとに巻いてあるテープなどに隠れていることもあります。)とくに、あたたかい時期にハダニの被害にあった株は、どこかに隠れている可能性が高いです。まとまっているところを一網打尽にしてしまえば、効率も良いです。被害を繰り返さないように、よく確認しましょう。
こういうところに隠れています



冬の前の黒星病などの病気について

春から夏にかけても黒星病は出ますが、その頃に黒星病が付くと葉が落ちてしまい光合成がしっかり出来なくなります。すると木が充実せずに株が弱ってしまいます。春から夏にかけては薬剤散布をしっかり行い、木を充実させる時期です。
秋はそれと異なります。寒さに向かうと薬剤散布しても黒星病は出ます。もうこの時期に黒星病が付いてもそんなに心配する必要はありません。プロがやっても秋は黒星病が出ますし、葉は落ちます。初心者さんに知っていただきたいのですが、秋は葉に薬剤散布しても、春や夏のように青々と復活するかと言ったら、そのようなつやつやした状態にはなりません。バラは落葉低木樹ですので、冬の寒さに向かって秋から葉が少しずつ落ちていくのが自然な姿です。見てくれは悪くなりますが、夏の終わりまでに木が充実していれば大丈夫です。剪定すれば新芽は出ますしいずれ花も咲きます。秋はそういうものだと思えば気持ちも楽になります。


カミキリムシ(テッポウムシ)の被害を確認



幼虫は1年中潜み、株元を食害していることがあります。新しい株よりも、比較的古株に入りやすい傾向があります。地際におがくずが無いか確認してください。おがくずがあったら、もしかしたらまだ株をむしゃむしゃ食べているかもしれません。最悪の場合枯れてしまいますので、前回のコガネムシ同様、ときどき確認してみてください。
詳しくはブログ記事…カミキリムシ(テッポウムシ)の対策・防除法をご覧下さい。




▶冬の管理はこちら
ばら苗の管理方法

この記事を書いた人

篠宮バラ園 園主

篠宮バラ園 園主

「毎日がバラとのお付き合い」
20歳のころから50年近くバラとともに生活しています。いまだにバラの気持ちを理解しきれていません。

「気まぐれで気位の高い姫と、これからも…」
園主のひとり言でした。

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