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プロが教える冬の植え替えの基本(鉢づくり)

最近めっきり寒くなってきましたね。

寒さ厳しい冬、バラは休眠期を迎えます。
ですが、バラを育てる私たちにとっては、バラが休んでいる今だからこそやるべきことがたくさんあります!
(冬のお手入れと管理・注意点)

鉢植えでバラを楽しんでいる方にとって、冬にやるべきことで一番のメインとなるのは植え替えではないでしょうか?
鉢植えのバラは限られた狭い環境の中で生育しているので、植え替えは大切な作業になります。
今回は冬に行う植え替えの基本についてご紹介します。


植え替えの必要性

「鉢からバラを抜いて土を入れ替えるなんて怖くてできないよ」
「植え替えた後の古い土の処理、困るなぁ」
「植え替えってしたほうが良いらしいけれど、面倒だしまた来年でいいか」
全て、筆者がかつて思っていたことです。
そして当時育てていたバラ1株を弱らせてしまいました……

なぜ冬の植え替えは必要なのでしょうか?
植え替えには、大きな目的が2つあります。

☆新しい土に入れ替える
植え替えは、『植え替え』よりも『土替え』の側面の方が大きいかもしれません。
培養土には、バラの成長に必要なさまざまな栄養がたくさん含まれています。その中には元々土に含まれていて、肥料ではまかなえないものもあります。
1年間バラが使ってきた土にはその栄養が残っていません。
新しい土に入れ替えることによって、肥料だけではまかなえない栄養を補充することができます。

☆根を整理する
植物は細根から養分や水を吸収するため、元気なバラは細根をたくさん伸ばします。
しかし、細根が多くなりすぎると根がぎゅうぎゅうに詰まってしまい、水はけが悪くなって根腐れを起こしたり、根からの吸収能力が落ちて株の元気がなくなってしまったりします。
また、根が増えすぎると鉢の中の土が追いやられ流出し、量が減ってしまいます。
そのため、増えすぎた細根を減らしてあげる必要があるのです。いわば、根のメンテナンスですね。

大仕事で面倒に感じる方もいらっしゃるとは思いますが、バラのために是非、冬の植え替えは行いましょう。



冬の植え替え・基本の流れ

当園で販売している7号鉢の苗を例に、植え替え方法の基本についてご紹介します。

~植え替え・基本の流れ~
①剪定
②土を落とす
③根を整理する
④鉢に植える
⑤水をあげる
⑥防寒


①剪定

まずは剪定をしましょう。
冬のやるべきことの中の一つに冬剪定は含まれていますが、枝が伸びたままでは植え替え作業の邪魔になるかと思いますので、先に剪定はしておきましょう。
また、植え替えによって根に多少なりともダメージを与えてしまいますので、どちらにせよ剪定は必要になります。

四季咲き鉢植えの冬剪定については、動画で解説しています。


②土を落とす

鉢からバラを抜き取り、根がたくさん抱いている土を落とします。
鉢から抜き取りづらい時には、ゴムハンマー等で鉢のふちに衝撃を与えるとはずれやすいです。

土を落とす際、熊手などの道具で掻いても良いですが、意図せずに根を大きく傷つけてしまう恐れがあります。
可能であれば、ホースや散水シャワーの水圧で土を洗い流すと、根を傷つけずに土を落とすことができます。
また、土を落とすといっても全ての土をきれいに落とす必要はありません。多少残っていても構いません。


③根を整理する

ある程度土が落ちたら、増えすぎた細根を取り除いていきます。梳いていくイメージで、手や熊手等で余分な細根を取っていきます。


細根を取っていくと、内側の土が出てきます。洗い流しながら根を整理しましょう。
少し取りすぎかな?と思っても、ほぼなくなってしまうようでなければ大丈夫です。生育期になれば、細根は再び増えていきます。

少しすっきりしました


④鉢に植える

左:これから植える8号鉢 右:株の入っていた7号鉢

新しい鉢に植えます。
今回の株は7号鉢でめいっぱい大きく育った株なので、一回り大きな8号鉢に植えます。
鉢に大きなスリットや穴がある場合は鉢底ネットや不織布で覆い、土が漏れ出ないようにしましょう。
新しく使う土は当園のオリジナル培養土やホームセンターなどのお花用の土を使用してください。

まず、鉢に直接根が触れないように、先に少し土を入れます。苗の高さ調節も、底に敷く土で行います。


バラ株を入れます。
株元の高さが土の表面と同じ高さになることを想像しながら高さを調整しましょう。

土の高さ=株元の高さは、鉢のふちから数センチ低くします。
鉢のふちいっぱいまで土を入れてしまうと、水やりの時に水がたまる場所がなくなって、土が流出しやすくなってしまい、水が鉢の中まで行き渡らなくなります。完成形を思い描きましょう。
株の位置が低い場合は底の土を足し、高い場合は土を減らすか根を少し減らします。


高さが決まったら株の周りに土を入れます。隙間を埋めるイメージで土を入れていきます。

ただ上から土を入れるだけでは根の間に土が入らず空間ができてしまうので、棒で軽く突きながら、土を入れます。
強く突きすぎると、土が詰まりすぎてしまうので注意!


新しい土になりました!


⑤水をあげる

土を入れたら、たっぷり水をあげます。 鉢底から水が出るまで、しっかり水をあげましょう。 そのあとの水やりは冬の間でも変わらずに、土が乾いたらあげてください。


⑥防寒

鉢は冬の寒さを側面からも受けるので、地植えに比べて根が寒さに晒されやすいです。
よほど寒さの厳しい地域でなければ、鉢の芯まで凍ることはめったにないですが、念のためにでも寒さ対策をしましょう。

バラの寒さ対策について、こちらの動画で詳しく解説しています。


やや大きめの鉢の場合


おおまかな流れは基本の方法と同じです。

しかし、基本で紹介した方法では7号鉢でしたので、ひと周り大きな8号鉢に変えて植え替えしましたが、
やや大きめの鉢の場合は、これ以上鉢を大きくしても仕方ないので、今までの鉢もしくは同サイズの鉢に植え替えます。

また、こちらも土は全部落とさなくても構いません。全体の3分の2程度でOKです。


7号鉢の場合と同じく、細根が多い場所は減らしてあげましょう。


動かせない大きな鉢の場合

持ち上げられないほどのとても大きな鉢やプランター、どこかに誘引している鉢のつるバラ等の場合、鉢から株を抜くことはほぼ不可能です。
無理に抜く必要もありません。無理に抜くと木を傷めてしまう恐れがあります。

そんな大きな鉢の場合は、表面の取れそうな土を取り除いて、その分新しい土を入れてあげましょう。
それだけでも新しい土の栄養を得られるのでバラのためになります。


虫に注意!

植え替える時に株を鉢から取り外すことで、普段見られない場所や見づらい場所が見やすくなります。
その時にぜひ確認しておきたいのが、害虫がいるかどうかです。

☆コガネムシ類の幼虫

鉢の土の中から出てきたコガネムシ類幼虫

コガネムシ類の幼虫は鉢の土の中にいます。
根を食害するため、バラにとっては致命的なダメージを負う原因にもなりかねない、油断できない害虫です。
鉢の中にいた場合、根から土を落とすときに出てきますので、見つけたら鉢に戻さないように取り除きましょう。

コガネムシ類についての詳細や対策法についてはこちら


☆カイガラムシ

カイガラムシは小さなアブラムシの仲間で、枝にくっついて木の汁を吸います。少量ならば影響は少ないですが、繁殖力が強くあっという間に大量発生します。
ですので、葉が少ない冬のうちに枝の表面にカイガラムシがいないかを確認して、見つけた場合はブラシ等でこすって剥がしてしまいましょう。
また、冬に見つかるカイガラムシは全て、受精卵を抱えたメスなので、冬のうちに対処することで今後の大発生を予防することができます。

カイガラムシの予防と対策についての詳細はこちら


☆ハダニ類
拡大したハダニ

ハダニを含むダニの仲間は、足が8本あってクモに近い仲間です。糸もはきます。
ハダニ類は葉の裏側から汁を吸います。ですのでハダニのいる葉は、葉緑素がなくなって表面がかすれたようになったりレースのように透けたりして、やがて落葉してしまいます。

ハダニは夏の間は葉裏にいますが、寒くなるとだんだん下がってきて、木の皮の隙間に身を隠して越冬します。バラでは、株元の薄皮が捲れやすく、ハダニが潜みやすい場所です。

夏にハダニが発生していた場合は特に、株元がよく見える植え替えの時にハダニが潜んでいないかどうかを確認しましょう。見つけた場合はプチっと潰しましょう。

ハダニについては動画でも解説しています。


気になるQ&A

Q. 休眠期とは言いますが、寒くなったのに葉も花もまだついています。葉が落ちるまで植え替えはしない方が良いですか?

A. 葉や花がついているかどうかはあまり関係ありません。寒くなっていれば植え替えして大丈夫です。暖かくなる3月にはもうバラが活発に生育しはじめるため、12~2月の間に植え替えは済ませましょう。


Q. 植え替えと鉢増しは同じですか?

A. 違います。 鉢増しは根を崩さずにひと回り大きい鉢に移すことを指します。土は元の鉢のものをそのまま使い、足りない分は新しい土を足します。植え替えは根を崩し、土を入れ替えて植え替えます。


Q. 細根と一緒に、古くてかたい根も切っていいですか?

A. 切らなくていいです。むしろ、なるべく切らないでください。古い根はそう増えません。細根を減らすのは、増えすぎて詰まってしまうからなので、古い根まで切る必要はありません。また、古い根は先端に細根をつけて吸水するので、切ってしまうと根としての能力が損なわれてしまいます。長くなりすぎて鉢に収まらない場合は仕方ないですが、なるべく切らないようにしましょう。


Q. これから株を大きくしたいので、今のうちに7号鉢からとても大きい鉢に植え替えしてもいいですか?

A. オススメできません。 出来る限り、今の株の大きさに合った鉢に植え替えてあげましょう。株に合わない大きい鉢に植えてしまうと、土に対して根が少ないため吸水が追いつかずに根腐れを起こす場合があります。将来的に大きな鉢に植えたい場合には、株の生長に合わせて毎年少しずつ鉢を大きくしていきましょう。


実際の作業の動画

動画でも詳しく解説しています。

00:00基本の植え替え(7~8号鉢ぐらい)
26:06やや大きめのサイズの鉢の植え替え
42:36特大サイズ(動かせないような鉢、プランター、誘引しているつるバラの鉢等)の場合
46:00気を付ける虫
49:00終わりに



基本の植え替えが体力的に厳しいというお声もいただきました。
そこでせめて何か出来ること…と考えたのがこちらの動画の内容になります。 この方法が出来る環境がある方は、限られてしまうかもしれません。 ですが、考え方としてはどなたでもご参考にしていただけるのではないかと思います。少しでもお役に立てましたら幸いです^^

00:00植え替えがしんどいです。
01:15植え替えの重要性
08:59大きい鉢に入れる
10:03水道圧を利用する
19:50土はどこまで落とす?
21:50工夫してみよう
23:37土の表面だけ掘るのは?
24:30大きい鉢のメリット


ばら苗の管理方法

この記事を書いた人

shinomiya-rose_staff

shinomiya-rose_staff

篠宮バラ園で働く生産スタッフです。
皆様のもとへ元気で丈夫な苗がお届けできるよう今日も頑張ります♪

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